【ブログ版】世界の名作文学を5分で語る|名作の紹介と批評と創作

YouTubeチャンネル『世界の名作文学を5分で語る』のブログ版です。世界と日本の名作紹介と様々な文学批評 そして自作の詩と小説の発表の場です

文芸批評・創作方法論

2021年今年の読書体験

今年は再読した、そして積読していたものを読了したカミュの 異邦人太宰治の 斜陽渡辺淳一の 流氷への旅JPホーガンの 巨人たちの星 ガニメデの優しい巨人モーパッサンの 主要な短編集バルザック 谷間のゆり森村誠一 の何か他にも再読したような気がするがぱ…

【小説作法 ひとつの方法|パラシュート型展開法】

【小説作法 ひとつの方法|パラシュート型展開法】*****************創作をしていると、当初描いたものと違うものに変わることがよくあります。はじめから終わりまでを時系列に書くことに意味はないのかもしれません。パラシュート創作法…

【詩の書き方講座1】詩は「生きる意味の衝撃」から心を守るためにある|意味を暗喩で奏でる近代詩

かつて叙情詩の時代は 韻を踏む 575などで音を整える という音楽的な響きが重視されていました 俳句や短歌でその日その時の心情は十分表現できます でもなぜ今ここにいるのか これからどこう向かうのか? 私の中の二つの感情が葛藤している などは俳句や…

【 大村氏の 「胡麻ぽん」を読んで 】

【 大村氏の 「胡麻ぽん」を読んで 】************全体として、いつも言うことですが、安定した筆致で面白く読めます。実際物語は面白い。描写はうまくて、納得しながら読めます。なので技術的にはもうなんの問題もないレベルだから、構成や主…

文芸作品批評:大村洋氏の「社長が店にやってくる」

【序文:大村さんの「社長が店にやってくる」】*********************読了しました。この作品については多くのことを語り合いたいと思います。リアルにお酒を飲みながら合評会したら楽しいだろうと思える作品です。まず前提として申し…

詩を深く考える

詩を深く考える①詩を書く人は多い。前にも言いましたが、10文字くらい書いて改行して10行から20行くらい書けば詩に見えますから、一億総詩人だっていいんですけど、プロの俳句と素人の俳句、プロの短歌と素人の短歌がはっきり違うように、うまい詩とそ…

小説教本 小説の書き方の目次です

実はそれなりに小説を書くだけなら、誰でも書けるようになる。こんな感じで学習すればいい。1.小説の文体2.小説文体の原則 同じことを二回書かない、など10項目くらい3.小説の構成の原則 登場した人間や道具など、書いたままにせず必ず処理して決着…

現実より創作が人生であるレベルの作家について 海部

現実より創作が人生であるレベルの作家について文学創作をするものは、この世の出来事が架空であり、文学創作の世界が現実である、そう小林秀雄が言いましたが、これは小林の意見というより、多くの作家や 詩人を研究した結果そうとしか思えないという感想…

動画で文学を語る理由

文学を動画で語るようになって一カ月ほど。とても面白い。書けよと言われるかもしれないが、書くのは面倒であるというのは世界の作家や作品についてもし書けば、やはりちゃんと書くからいちいち時間もかかるのである。それが一回だけのしゃべりになると そ…

詩の味わい方は深い

詩の味わい方は深いトータル的に文芸を書く場所がどこにもなくなったような気がするのであえてここに書きますが。わたしは文芸誌らむぷで、30代から10年小説修行をした。その話は何度か書いた。しかし実は詩についてはそれよりも長く、高校2年の時に福岡の…

古典文学だけでは生きるのは難しい 自己啓発の本も必要?

昔から 文学は上院で自己啓発書は下院だと思っていた。つまり大所高所からの方針を決めるのは文学世界からの霊感で日常の人生を生きるためには自己啓発のメソッドを使うと。古典となって小説たちは何がすごいのだろう。現代小説で、たとえば帚木蓬生とか東…

世界の古典文学を自分勝手に読んだ話をお伝えしています

動画です

詩の批評文

A言葉が有機的とは言葉が肉体化しているということですね。言葉が肉体化しているというのはその言葉が作者によって十分に咀嚼されているということですそれとともにどの地平に作者が立っているかというのも大事でこの詩では作者はだいぶ余裕のある立ち位置に…

近代日本最大の詩人は夏目漱石だと古井由吉が言った

近代日本の詩人と言えば萩原朔太郎、三好達治、島崎藤村、北原白秋などが思い浮かびますが・・・・夏目漱石は実は近代日本の最大の詩人であった。そしてその漢詩の素晴らしさは日本文学史全体の中で最高峰と言われる室町五山文学の面々に、たった一人で比肩…

文学日記 詩と小説の違いとは? 2019年以前

詩と小説の違いとは?詩と小説の違いを一言でいうと、どうなるだろう?みなさんのご意見を伺いたいと思いますぼくは、詩はソロの演奏で、小説はオーケストラとか四重奏だというとらえ方もしています詩=無に命や魂を吹き込むこと。小説=無から創造した、もの…

大村洋さんの小説「鬼とオニ」を批評してみる

課題「鬼とオニ」 大村洋1 紺碧に染まった海に、空豆のような形をした小さな島がぽっかりと浮かんでいます。 それが、鬼ヶ島と呼ばれる鬼の国でした。 昔々、鬼と人間は一緒に暮らしていました。ところが、ある日、鬼と人間との間で争いが起こりました。→原…

小説を書く方法~キャラの設定とライトモチーフの魔力:古荘英雄

小説におけるキャラ①パラドックスまずキャラが立つというのはどういうことかというと、そこに人形劇ではないrealな人間を作るということです。グループ内の小説で人物が独り歩きしているのは伊豆沖ランドの登場人物くらいです(笑)あとは自我の投影か、無味…

【小説を書く方法】風景描写とは現実を映すのではなく創造する|風景描写で完全に作者の力量がわかる

1.風景描写①1/4 小説を書く方法小説の中身を検証すると次のものがあります1.風景描写(人物描写)2、人物の動作3.物語の展開4.セリフ5.状況の説明6.内面描写この5項目を満遍なくマスターすれば小説が書けるかといえばそうはなりません。それで…

文芸誌 草囁 合評会批評文⑤ 2020年5月 TT

あなたが悩み苦しんだ最大の原因は何か?駄作を出してしまったということです。以下詳しく見て行きましょう。あなたがちゃんと書けばそれなりのレベルのものができたでしょう。あなたの腕が上がらない最大の理由とはこうです。孤独に刻みあげるべき文学創作…

村上春樹の文体がなぜ心地よく人気があるのかそのからくりを教えます

村上春樹の文体村上春樹の文体は心地いい。読んでると安心さえする。物語よりも人気の秘密は明らかに文体にある。そのからくりはこうだ。デビュー以来変わらない彼の文体は、まず不安を奏でる、そして世をはかなむセリフを混ぜる、しかし、やってることは結…

文旅文学學校の批評 「生きるという随筆の批評」 Oさん HF

この母の倒れてから亡くなるまでの物語は、実体験だからこれを書けばたいへんな経験に読者は経緯を評するのだが、あくまで文学という観点で考えて行く。これは、母との娘のドラマである。この母の死に至る2週間を通して、これまでの母と私の諸々の葛藤や愛情…

文芸誌 草囁 合評会批評文④ 2020年5月 H.F

T冗長面白いけどしまりがないですA総じて大村さんのは、コアがない。全員二番打者とか、ローテーション全員アンダースローとか。打線ならぬ文線のつながりにかける。この話に何かエピソードがあればがらりと変わるだからパラグラフごとには問題ないしやるこ…

文芸誌 草囁 合評会批評文③ 2020年5月 H.F

この作品は根本において「生きる」のタイトルでいいのか?ほかの人の生きるは正面から生きるを捉えたものですがこれは生きることをおばさんを鏡に示そうとしたもの、もしくは、おばさんを鏡に見えたものは、生きることそのものだ、という展開を狙ったもので…

文芸誌 草囁 合評会批評文② 2020年5月 H.F

前提①アンネフランクが書いたアンネの日記を、文学作品として批評する人はいない。文章が下手だとかここの描写がおかしいと言う人はいない。アンネの日記が文学的価値を持つかといえばそれはない、あれはあくまでナチスに虐殺されたユダヤ人の少女が綴った文…

文芸誌 草囁 合評会批評文① 2020年5月 H.F

①幼年期や少年期の環境は、人間にとってはそこから逃げる手段も改善する手段もなくどうしょうもない与件ですです。でも人は成長し生きて行かなければならない。望まれない誕生であっても疎まれながら育てられても結果を引き受けるのは結局本人になる。ここ…

小説を書くための想像力は単なる物思いとは違う|小説家に必要な想像力を「ナポレオン」で考える

小説家の想像力とは?ひとつの例|作家には想像力がないといけないあたりまえなのだがこれを取り違えている人も多い。絵空事を思いつく能力と、文学創作上の想像力とは違う。この違いがわかるといわゆる自我がにじみ出るような文章も書かなくなる。これは言…

文学的創造における自我と普遍的自己 NA

文学的創造における自我と普遍的自己~Oさんのつぶやきから~ ①「君の別れの言葉が頭の中でいつまでも舞い落ちる でもやがて青空を背景に凛として裸の樹木が立ち尽くす時が来る そのときは生きる意味が枯葉に覆われても 新たな意味を天に問いかける矢として…

小説の合評会というものについて HF

合評会について① 修正版 わたしは福岡の文芸誌らむぷに10年所属して20編の小説を書いた。会費3500円と年に2回の出版のたびに3万円ほどかかったので半年で5万円ほどになる。そして出版すると半年に一度の合評会が5時間くらい行われた。 一人あた…

辻邦生で文学を学ぶ  海部

文学を最速で学ぶ方法は辻邦生の文学エッセイを読を読むことです。小説とは何かが完全にわかる。その上で偉大の長編を一つ読む。それで理解を実感できる。 特にこれを全部読んで理解できたら文学がくっきりと見える これを読むと小説とは天地創造なのだとわ…

説明ではなく創造することが文章のきも

アレキサンダーは大勢の兵士を従えた、は小説としてはあってはならない文章である ① 続き これを二アレキサンダーの視点から書くと王は自分の陣地に大勢の兵士が溢れているのを見て満足だった。自分の中に蘇ったデルフォイの神々が雄たけびを上げるのを感じ…