【ブログ版】世界の名作文学を5分で語る|名作の紹介と批評と創作

YouTubeチャンネル『世界の名作文学を5分で語る』のブログ版です。世界と日本の名作紹介と様々な文学批評 そして自作の詩と小説の発表の場です

自作の詩

自作の詩 ロシアのトルストイ伯爵を中心とした物思い

文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ ロシアのトルストイ伯爵を中心とした物思い 若いころは19世紀のヨーロッパの長編小説を読まないとけないと、単純に考えていました。昔は、戦争と平和とかアンナ・カレーニナとか読むと、立派な人間になるも…

秋の日のクラシック音楽の詩 2編

秋の日のクラシック音楽の詩 2編 巨人マーラーの交響曲が始まる 1. マーラーの演奏が決まると 指揮者も演奏者も日常生活が破綻するという 交響曲はただでさえ長いのに ブラームスやベートーベンの倍近くあったりするのがマーラー 2. しかも 頻繁に訪れるソ…

『宇宙船から地球を見つめるようには 地平線に目をやれない』

『宇宙船から地球を見つめるようには 地平線に目をやれない』宇宙船から地球を見つめるようには地平線に目をやれないはじめて人が馬を乗りこなした時すでに未来に向かって戦死する馬の数は決まってしまったのだ始原の交通革命によって人は地平線のかなたにま…

詩:<祭り|地球上のどこであろうと人がいる限りそれはあり続ける>

<祭り|地球上のどこであろうと人がいる限りそれはあり続ける>地球上のどこであろうとどんな宗教を信じていても どんな言葉を話していようと山であろうと海であろうと そこに人間がいさえすればそこには祭りがある神々が海のかなたからこの浜辺に上陸した…

『わたしに寄せ来る海と夢』

『わたしに寄せ来る海と夢』わたしの前にある海は遠くに島影を見せながら夕暮れになると海岸を覆う優しい 布団のようでありましたわたしの前にある海は若い希望の残骸を クラゲのように打ち上げながらまだ生きていても いいのだよ と 荒い中にも優しい潮風…

様々な雨の回想

【様々な雨の回想】初稿この雨の音を初めて聞いたとき言葉を知らぬ私の横には前足で顔を洗う猫がいて二人はそろって背伸びをしていたやがて ランドセルに黄色いカバーをかけて黄色い傘を片手に水たまりを飛び越えて猫たちに手をふって私は最初の学び舎へ 向…

堤防|詩

堤防その堤防は海への道であったそしてまた風の通る道であったそれは外海と港の守る内海の領域との間に見事なほどの一線を引いていたしかしそれは物理的には違いはなく魂に立ち込める雲の作る境界であった堤防の上の空間に光が時によるとオーロラのようにた…

泥棒の夢を見た:文学日記

昨夜の夢だ。ぼくの部屋は一階でベッドは窓際に置いてる。でそのサッシの鍵がかかっていなくて夜中に突然誰かが開けてぼくに挨拶するという内容だった。とても驚いて目が覚めて なんだこれは?と叫んでいた。夢というのは起きてすぐに言語化しないと忘れてい…

未来の記憶 コーアクティブコーチングの未来セッションのビジュアリゼーション体験を詩にしたものです

未来 その日目の前に黄色い光の帯が見えた。おそるおそる触ってみると光の帯はぼくを包み込み、その内部で見上げれば、天の彼方からまっすぐに地上に差し込んだ光をぼくはさかのぼっているのだった。 やがてぼくの町が眼下に見えた。そこには今のぼくの想念…

女神が歌う舞台の片隅で

散文詩 【女神が歌う舞台の片隅で】第2稿 12/01/0:46 眠りに入るために灯りを消して、眠りが来るまでの微かな時間、ぼくは夢に先駆けてやって来る「イメージ」を夜ごと目にする。ヒーロー願望や歴史のIFなど無意識の渇望を満たす他愛ないイメージを楽しむ…

秋を見つけた日に  NA

秋を見つけた日に ✳️ それは山の中にいた すすきが細やかな影を作る道を 揺らめく夢となって風が吹き抜ける時それは街の中にいたビルの上を通りすぎる大きな雲が遠い場所へ人の心を誘う時 それは思い出の中にいた ある朝目が覚めて 懐かしさとともに青空が目…

その少年   海部

その少年 これは随筆ですから。(笑) 1 むかしむかしのことだった 海を越えたあるとこに 何をやっても ほんとにだめな とろくてまぬけでそれでいて 言い訳だけは哲学的な そんな少年がいたんだと 野球をやればマウンドで 相手チームがヒットの山 バットを…

一通の電子メール~学生時代の同級生の女の子が40台半ばで子供を残して亡くなった時死後友人たちにメールが来た F

1通の電子メール あれはもう15年も前のことだ。 学生時代の友人から電子メールが来た。彼とは東京と福岡にいても時たまメールで近況報告する仲だったので、いつもの変哲もないメールだと思った。 私は軽い気持ちで何気なく読んだ。 「私の人生を彩ってく…

【ぼくらの人生のラプソディ】 クィーンのフレディ・マーキュリーが最後にボヘミアンラプソディーを歌う 海部奈尾人

前書き ボヘミアンラプソディーを見た。 単純に感動する。最後のウェンブリーのコンサートが、それまでのフレディの人生とクイーンの音楽ををなぞるようになっている。 ****************** ボヘミアンラプソディを聞きながら触発されて書…

輝きというもの 

夜ふすまを開けるとそこからは異形のものたちが入ってくる それは恐怖だろうか力だろうかそれとも光なのだろうか それは明日からのものたちだろうかそれとも昨日たちの屍だろうか ふすまの向こうの夜の闇では表面に張り付いた光を肉眼で見ることができるが昼…

永遠 辻冬馬

永遠 瞳の瞬きの間に 星が死ぬ 星の瞬きの間に 人が死ぬ だから 星も人も互いを知ることはない 星も人も 次に輝くとき 次に光が入り込むとき すでに互いの命は消えている だから そんな不思議な命のことを どんなに探ろうとしても どこにもたどり着けないこ…

雲が消える  海部奈尾人

千億の心と二千億の目 この誰もが知る地から空にかけての広がりの中で あの雲が青の中でまさに消えていった 雲が視界からなくなるときは 流れ去ると思い込んでいないだろうか 雲が千切れ剥がれ消滅するのを見た人は いるだろうか? 人類の死者の総数は 1000…

浮上と飛翔の境目に見つめあう者たち 辻冬馬

浮上と飛翔の境目に見つめあう者たち ********************* ビーチボールにつかまった熊が 海中からその浮力で ゴムボートをオールを漕ぐ誰かの すぐそばに浮き上がってくる 熊は悪気なく 不思議そうな顔で オールを漕ぐ人を眺める そ…

「トルストイ随想」 文学を巡る対話集

戦争と平和 ぼくは戦争と平和を2回通読し、時々部分読み返します。 トーマスマンが折に触れて読み返していたそうです。 亡命中にも「心を支えるために」通読したなどと手紙に書いてますね。 ロマンロランも「美的」なものにたいへんな影響を受けたと。 そし…

「小さな花の夢の中に  叙情詩風に」 by amabe

海辺に花は似合わない 潮風が届くことのない 遠く船影を見下ろすこの場所でこそひまわりは気兼ねなく太陽と抱き合うことができるのだった でも波音の代わりに せせらぎの透き通るようなきらめきと 木々の緑のゆらぎのもとで うつらうつらする小さな花の 真昼…

「聖徳太子  夢殿で見る夢」 辻冬馬

「聖徳太子 夢殿で見る夢」 かつてはよく船が沈んだ あの長安からの荷物を運ぶ船が沈むたびに無数の教典も海の藻屑となったのだその教典の一文字一文字が束縛を解かれて海中ににじみ出て沈没船に降る雨のように光り輝く仏となって海底に沈みゆく かつてはよ…

水しぶき by辻冬馬

水しぶき 真昼時 小舟に乗って 川を下りていく 空 深く 青く 透明な 心のような空 その中に吸い込まれそうな危険 誰も溶け込むことから 逃げることはできない 時おり揺れる船と 水しぶきが 彼を彼として 引き留める 天に張り付く青は巨大だが 彼もまた巨大な…

神々の帰還 by辻冬馬

再び夕暮れの赤い海の中から 船がやって来る 古代の港に神々の姿が浮かび上がる 集う人々を目にもかけず 神々は一人の男のもとへ進む 男は優雅に神々を迎える *クロードロラン 夕日の港 人々はその館を囲み やがて 詩人と神々の宴が始まる すぐに 神々は人…

自作の詩、エセー<2つの答案問答>     古荘英雄

2つの答案問答 古荘英雄 1 戦中に書かれた反体制の詩が糾弾したいのは何だったのかという問いに対して、「政府」と書いたわたしの答案に✖をして「軍」と訂正を入れた教師に、「軍」は当時の「政府」ではないかとわたしは主張した。すると屁理屈を言うなと…

自作の詩「季節を放浪するもの」BY 辻冬馬

創作 詩と小説 エセーと随筆 季節を放浪するもの ぼくは季節が変ると 別のところへ行き 別の人間になった 様々な場所があって 様々なものがあって 様々な人がいて それらを流れる「時」があって 去りがてには 別れの歌を歌いもした ぼくの旅は 歌が支えるや…

自作の詩「CAT キャット」古荘英雄

創作 詩と小説 エセーと随筆 1987年の詩 キャット 煙草を吸う男を見た キャット それは初めて乗る電車で そして二度と乗らない電車でのこと 京都発金沢行き 北国へ向かう数時間 ぼくは一人で夢を見たのだ キャット とある窓の内側にいて どうでもいいこ…

自作の詩「様々な風の回想」古荘英雄

創作 詩と小説 エセーと随筆 様々な風の回想 風 夏の神宮球場から 街のバーへ 失ったものについて 女友達と話す 風 彼は出発点というあやふやな場所で 冬枯れの木々を眺め ある種のコペルニクス的転回を 未来へ向けてばらまいた 風 時速160㎞の車の中で …

自作の詩「最後の回想」古荘英雄

創作 詩と小説 エセーと随筆 最後の回想 一つの光景 古い街を歩きながら ふと自分を呼ぶ声がして振り返る そこには昔の友がいて笑っている 振り返るために首を反転させている間は 何も思わず何も見ていなかったが 後ろを向き終わり視点を定めた時 目に入る懐…

自作の詩「夢の余生」by辻冬馬

文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ 習作時代の詩 夢の余生 抜け出す 高みに これは誇り この存在の由来は それを許す 浜辺で 彼女の声が押し寄せ 消えて 空も海も青い ノスタルジーと明日の城が波で消される この世の全体と抱き合い それだけで …

自作の詩「笛を吹く者」by 海部奈尾人

創作 詩と小説 エセーと随筆 墓地を抜ける細い道を 広場に向かう一人の少年がいた そこに漂う多くの幽霊たちが 帰り忘れた 昼間のこだまたちと遊ぶ時刻 そのゆらめく者たちが 少年の瞳に光となって映り 少年の耳の奥底では その歌声めいたざわめきが響き そ…