【様々な雨の回想】初稿
この雨の音を初めて聞いたとき
言葉を知らぬ私の横には
前足で顔を洗う猫がいて
二人はそろって背伸びをしていた
やがて ランドセルに黄色いカバーをかけて
黄色い傘を片手に水たまりを飛び越えて
猫たちに手をふって
私は最初の学び舎へ 向かっていた
やがて 雨が降ろうが灼熱の太陽だろうが
時計と手帳のリズムとテンポで
ひたすら外を歩き回るわたしがいた
物陰の猫たちに目もくれず
もう 何回雨が降っただろうか?
行先も帰る場所も様々に変わったが
雨の音だけは変わらない そして
猫たちの人知れぬ営みも私にずっと寄り添っていた