【ブログ版】世界の名作文学を5分で語る|名作の紹介と批評と創作

YouTubeチャンネル『世界の名作文学を5分で語る』のブログ版です。世界と日本の名作紹介と様々な文学批評 そして自作の詩と小説の発表の場です

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

泥棒の夢を見た:文学日記

昨夜の夢だ。ぼくの部屋は一階でベッドは窓際に置いてる。でそのサッシの鍵がかかっていなくて夜中に突然誰かが開けてぼくに挨拶するという内容だった。とても驚いて目が覚めて なんだこれは?と叫んでいた。夢というのは起きてすぐに言語化しないと忘れてい…

神社の門番の猫

宗像大社の近くの名もなき神社の入り口に ふと見ると猫がこんな所にいました 神の使いにしか見えなかった!! 純文学ランキング

リルケ「秋の日」|形象詩集最高傑作の孤独がしみわたる詩

リルケ 秋の日 神品芳夫訳 主よ 時です まことに夏は偉大でした いまこそ 貴方の影を 日時計の上に投げ 野に秋風を吹かしめたまえ 残れる果実に 最後の実りを命じたまえ そしてなお 二日の温暖を恵み かれらを成熟へと走らしめ やがて 最後の 甘き果汁もて …

名詩紹介 室生犀星初めて「カラマゾフ兄弟」を読んだ晩のこと

ぼくが好きな詩を紹介しています 【初めて「カラマゾフ兄弟」を読んだ晩のこと 室生犀星】 私はふと心をすまして その晩も椎の実が屋根の上に 時をおいてはじかれる音をきいた まるでこいしを遠くからうったように 侘しく雨戸をもたたくことがあった 郊外の…

発表した作品はもう作者のものではない TT

作品は書いてしまえば他人事です。その境地になるくらい真剣に書いたら批評など気にならなくなります。うまくなりたいとかほめられたいとかいうのは論外です。それは文学することと何の関係もありません。食事に来たのに食堂の床材を気にして楢材じゃなくち…

作家の目で読むドン・キホーテ NA

作家の目でドン・キホーテを読んでみる 物を書いてる作家としてドン・キホーテを読むと多くのことを発見する。 あれは読み始めると1ページごとに爆笑するほど面白いのだが 一番重要なことはそこにあるのではない。 作家として読むのであれば なぜドン・キホ…

文学日記 文学的故郷を持っていますか?  HF

文学的故郷を持っていますか? ヘルマン・ヘッセに「世界文学をどう読むか」という100ページにも満たない小冊子がある。冒頭からいきなり素晴らしい一文で始まるのだが作家を目指す人にはぜひおすすめの随筆である。 その中にこんなくだりがある。 「自分…

武者小路実篤の若き日の思い出が文学の世界の入り口だった HF

キックオフ中学一年生の冬のことだった。突然姉が文学本を読み始めた。そしてその流れ弾が私にあたった。武者小路実篤の「若き日の思い出」があの日目についたのである。炬燵に座ってぱらぱらと読んでみる。文学本は芥龍之介の羅生門をもっていたがなんでこ…

文学日記 はじめて村上春樹を読んだ日のこと

大学を卒業して半年の間に、同じサークルだったK子と何度か会った。ある時は大学の近くで夜食事をしたし、あるときは大学の近くで昼お茶を飲んだ。なぜK子と会っていたかよく思い出せない。就職してしばらくの間は大学時代が恋しくてサークルにいって後輩…

詩の批評文

A言葉が有機的とは言葉が肉体化しているということですね。言葉が肉体化しているというのはその言葉が作者によって十分に咀嚼されているということですそれとともにどの地平に作者が立っているかというのも大事でこの詩では作者はだいぶ余裕のある立ち位置に…

近代日本最大の詩人は夏目漱石だと古井由吉が言った

近代日本の詩人と言えば萩原朔太郎、三好達治、島崎藤村、北原白秋などが思い浮かびますが・・・・夏目漱石は実は近代日本の最大の詩人であった。そしてその漢詩の素晴らしさは日本文学史全体の中で最高峰と言われる室町五山文学の面々に、たった一人で比肩…

万葉集の中の随筆を知ってますか? |山上憶良の随筆は日本最古の随筆ではないか?

万葉集は歌集ですが、中には随筆もありますね。山上憶良が病に伏したわが身を顧みて書いたもの。現代文にて沈痾自哀(ちんあじあい)の文①http://manyou.plabot.michikusa.jp/manyousyu5_chinajiaino_bun.html「 ひとり考えてみると、朝夕に山野で狩猟をして…

志賀直哉雑感 FF

芥川龍之介が日本人作家としてもっとも尊敬していたのは志賀直哉でしたね。その文章力と言う点での尊敬です。志賀直哉は、流れで一切書かない、調子がでてきたらその勢いで書く作家がほぼ全部ですが芥川によると志賀直哉は、調子がでてきて流れに乗ってきた…

文学日記 日本の随筆はなぜか短い 

日本の随筆はなぜ短いのか? 不思議に思うことがある。 モンテーニュのエセーというのは、何冊分もの文章だけど、日本の随筆を代表する 方丈記も徒然草も枕草子も、とても短い。現代語訳なら一晩で読んでしまうだろう。 短いのが不思議ということではない。 …

雨の文学作品 名作の紹介 辻冬馬

雨の文学作品辻邦生の「雨季の終わり」。作られた構築物だ。辻邦生の作品はうまいと思うけど自然の感じがなかなかしない。志賀直哉の「城崎にて」。雨が蜂の死骸を流す話があった。欧米の文学はあまり雨が降らないような気がするのは気のせいか。「武器よさ…

文学日記 詩と小説の違いとは? 2019年以前

詩と小説の違いとは?詩と小説の違いを一言でいうと、どうなるだろう?みなさんのご意見を伺いたいと思いますぼくは、詩はソロの演奏で、小説はオーケストラとか四重奏だというとらえ方もしています詩=無に命や魂を吹き込むこと。小説=無から創造した、もの…

文学日記~松本清張の点と線を読んで井上ひさしは祭りだと言った 2020年5月

5月21日木曜井上ひさしが、松本清張について語ったことにこんな意味のものがある。「私たちは清張さんの小説世界に入ってそこで祭りを経験する。みんなでおみこしをかついで、騒いで走り回る。そうして祭りが終わったら今度は日常に戻るのだが祭りの体験…

大村洋さんの小説「鬼とオニ」を批評してみる

課題「鬼とオニ」 大村洋1 紺碧に染まった海に、空豆のような形をした小さな島がぽっかりと浮かんでいます。 それが、鬼ヶ島と呼ばれる鬼の国でした。 昔々、鬼と人間は一緒に暮らしていました。ところが、ある日、鬼と人間との間で争いが起こりました。→原…

小説を書く方法~キャラの設定とライトモチーフの魔力:古荘英雄

小説におけるキャラ①パラドックスまずキャラが立つというのはどういうことかというと、そこに人形劇ではないrealな人間を作るということです。グループ内の小説で人物が独り歩きしているのは伊豆沖ランドの登場人物くらいです(笑)あとは自我の投影か、無味…

【小説を書く方法】風景描写とは現実を映すのではなく創造する|風景描写で完全に作者の力量がわかる

1.風景描写①1/4 小説を書く方法小説の中身を検証すると次のものがあります1.風景描写(人物描写)2、人物の動作3.物語の展開4.セリフ5.状況の説明6.内面描写この5項目を満遍なくマスターすれば小説が書けるかといえばそうはなりません。それで…

文芸誌 草囁 合評会批評文⑤ 2020年5月 TT

あなたが悩み苦しんだ最大の原因は何か?駄作を出してしまったということです。以下詳しく見て行きましょう。あなたがちゃんと書けばそれなりのレベルのものができたでしょう。あなたの腕が上がらない最大の理由とはこうです。孤独に刻みあげるべき文学創作…

村上春樹の文体がなぜ心地よく人気があるのかそのからくりを教えます

村上春樹の文体村上春樹の文体は心地いい。読んでると安心さえする。物語よりも人気の秘密は明らかに文体にある。そのからくりはこうだ。デビュー以来変わらない彼の文体は、まず不安を奏でる、そして世をはかなむセリフを混ぜる、しかし、やってることは結…

文旅文学學校の批評 「生きるという随筆の批評」 Oさん HF

この母の倒れてから亡くなるまでの物語は、実体験だからこれを書けばたいへんな経験に読者は経緯を評するのだが、あくまで文学という観点で考えて行く。これは、母との娘のドラマである。この母の死に至る2週間を通して、これまでの母と私の諸々の葛藤や愛情…

文芸誌 草囁 合評会批評文④ 2020年5月 H.F

T冗長面白いけどしまりがないですA総じて大村さんのは、コアがない。全員二番打者とか、ローテーション全員アンダースローとか。打線ならぬ文線のつながりにかける。この話に何かエピソードがあればがらりと変わるだからパラグラフごとには問題ないしやるこ…

文芸誌 草囁 合評会批評文③ 2020年5月 H.F

この作品は根本において「生きる」のタイトルでいいのか?ほかの人の生きるは正面から生きるを捉えたものですがこれは生きることをおばさんを鏡に示そうとしたもの、もしくは、おばさんを鏡に見えたものは、生きることそのものだ、という展開を狙ったもので…

文芸誌 草囁 合評会批評文② 2020年5月 H.F

前提①アンネフランクが書いたアンネの日記を、文学作品として批評する人はいない。文章が下手だとかここの描写がおかしいと言う人はいない。アンネの日記が文学的価値を持つかといえばそれはない、あれはあくまでナチスに虐殺されたユダヤ人の少女が綴った文…

文芸誌 草囁 合評会批評文① 2020年5月 H.F

①幼年期や少年期の環境は、人間にとってはそこから逃げる手段も改善する手段もなくどうしょうもない与件ですです。でも人は成長し生きて行かなければならない。望まれない誕生であっても疎まれながら育てられても結果を引き受けるのは結局本人になる。ここ…