【ブログ版】世界の名作文学を5分で語る|名作の紹介と批評と創作

YouTubeチャンネル『世界の名作文学を5分で語る』のブログ版です。世界と日本の名作紹介と様々な文学批評 そして自作の詩と小説の発表の場です

名詩の紹介

トマス・ハーデイの詩を味わう|『ダーヴァヴィル家のテス』『帰郷』の作家ハーディは詩人でした

ハーディの詩は素晴らしい この動画は 11分14秒から詩の朗読になります 一年の目覚め The Year's Awakening, 275 1910年2月作 どうして君には判るのか、何週も何週も 鬱陶しい 死装束のような暗雲が空を覆っていたのに、 そして春の色はまだ ただ一…

立原道造の詩を味わいその早熟の天才を鑑賞する

立原道造 4編の詩の朗読動画 youtu.be 4分30秒から朗読が始まります 24歳で夭折した天才詩人立原道造 その詩は何が魅力なのだろうか? 個人的感想と 実際に4つの詩を朗読して味わってみます 高村幸太郎とのコラボ youtu.be 立原道造の詩は、当時の日本…

陶淵明「飲酒」 超訳すると素晴らしいモダンな近代詩になる 

陶淵明「飲酒」超訳 <酒飲みの夕暮れの歌> 私は黄河を失った晋の末裔だ長江の河口に逃げのびそこに拠点を作った国の役人として日夜励んできたものだだが今や私は人の世の流れから抜け出したそれも街中に居ながらにして抜け出したのだ街中にある庵からは不…

【イギリスロマン派の詩人】詩人シェリーを知っていますか?奥さんは『フランケンシュタイン』の作者です

パーシー・ビッシュ・シェリー。 シェリーというイギリスロマン派の詩人を知ってる人は少ない でも実は間接的に、みたいな感じで意外と日本で知られている 漱石の草枕に出て来る「雲雀」という詩 草枕 雲雀→ 雲スズメということで「雲」 草枕の冒頭当たりで …

ドゥイノの悲歌と時祷詩集と美しい叙情詩|詩人リルケはゲーテを凌ぐ天才だった

リルケ入門動画 リルケは詩、それもドゥイノの悲歌の10の歌やオルフォイスのソネットなどを著わしたし、 マルテの手記などの小説もありますが、随想となづけた随筆やエセーも珠玉の作品ばかりです ドゥイノの悲歌 詩人は詩人、作家は作家で考えるものです…

【ドイツの詩人】ヘッセと並ぶ詩の巨人ハンス・カロッサ|その魂の修行時代を文学ライブで徹底して語る

*車輪の下ではなくカロッサの青春変転こそ感想文推奨図書 幼年時代 青春変転 美しき惑いの年 指導と信従 を通しで読むと生まれてから就職するまでの人間を見渡せるこれにルーマニア日記を加えるとそんな人間が従軍する話となるそして詩を加えると カロッサ…

詩人ランボー|散文詩「地獄の季節」「イリュミナション」の壮大なイメージの絵巻物に酔いしれる

私が一番読んだ詩人はランボーです ただ それは地獄の季節 やイリュミナション などの散文詩があったから。 韻文の翻訳だけではあそこまでの感動はなかっただろうと思いますが あの沸き起こるイメージと それが疾駆するさまを鑑賞するのは 神々の舞踏に酔う…

中原中也のような詩を批評すると感動が消える?|感動を言語化したときに読者の中に真の詩が生まれる

詩の批評は可能か?中原中也で考えてみるこれは私が暗唱できる詩のひとつ、要はメチャクチャ好きなわけです中原中也北の海海にいるのは、あれは人魚ではないのです。海にいるのは、あれは、浪なみばかり。曇った北海の空の下、浪はところどころ歯をむいて、…

三好達治の詩の紹介|大阿蘇&草千里浜を併せて読むと詩の空間が広がる

三好達治の詩の紹介です 一緒に味わって行きましょう 37歳の時の「大阿蘇」 と同じ阿蘇を舞台にした39歳の時の「草千里浜」です 三好達治をもって日本語の詩は完成したんじゃないかと個人的には思います 動画で詳しく語っています 動画中の伊勢物語の和…

ゲーテが言葉で作った素朴でしなやかな時空|『ディーヴァン:西東詩集』を味わう

ゲーテ晩年の西東詩集 #ゲーテの西東詩集 は、 ひとつのコンセプトで貫かれた小説空間のようです ワイマル図書館で借りたアラビア関連の本を返却せずインスピレーションを受け続けたようです 東方空間というよりはみずからの言葉で作った精神的な時空こそが…

清岡卓行の詩を読むと亡命してないのに祖国へのはるかな悲しみを感じる

清岡卓行#清岡卓行 の詩を紹介します。 素晴らしい詩がたくさんあり、もしも清岡がフランス人なら世界文学に輝くメジャーな詩人になっていたかもしれない #ノーベル文学賞 もあったかもですね 彼は大連生まれの大連育ち。祖国を空間的にも失った体験がベ…

ヴァレリーの詩「海の墓地」|ヨーロッパの根源地中海精神を静かに歌い続ける彼岸への詩

LE CIMETIÈRE MARINΜή, φίλα ψυχά, βίον ἀθάνατον σπεῦδε, τὰν δ’ ἔμπρακτον ἄντλεῖ μαχανάν.Pindare, Pythiques, III. Ce toit tranquille, où marchent des colombes,Entre les pins palpite, entre les tombes ;Midi le juste y compose de feuxLa mer, …

ランボー 『オフィーリア』|ミレーの絵を天才ランボーが言葉に翻訳した名詩

ランボー 『オフィーリア』 ミレーの絵 オフィーリァ 宇佐美斉訳 ⅰ 星の眠る黒い静かな波のうえを色白のオフィーリアが漂う 大輪の百合のように長いヴェールを褥にいともゆるやかに漂う……――遙かな森に聞こえるのは獲物を追い詰める合図の角笛 千年以上にもわ…

詩<天文学の話>高村光太郎|「あこがれ共同体」というドラマの冒頭で郷ひろみが朗読していた

それはずっとずっとさきの事だ。 太陽が少しは冷たくなる頃の事だ。 その時さういふ此の世がある為には、 ゼロから数字を生んでやらうと誰かがいふのだ。 さうか、天文学の、それは話か。 仲秋の月ださうだ、空いちめんをあんなに照らす。 おれの眼にはアト…

本当の宮沢賢治の話しをしょう|文学と大乗仏教の幸福な融合

梅原猛さんの論。宮沢賢治を本当に理解するには大乗仏教がわからなくてはいけない。 というのを読んでなるほどなあ、と思いました ドストエフスキーがキリスト教を書いてもそれを読むヨーロッパ人のようには 宮沢賢治の仏教を理解する日本人はいないというこ…

伊東静雄 「 曠野の歌」|死と生の根源的風景をうたい上げた世紀の名詩

曠野の歌 わが死せむ美しき日のために 連嶺の夢想よ! 汝なが白雪を 消さずあれ 息ぐるしい稀薄のこれの曠野に ひと知れぬ泉をすぎ 非時(ときじく)の木の実熟うるる 隠れたる場しよを過ぎ われの播種(まく)花のしるし 近づく日わが屍骸(なきがら)を曳…

アメリカの詩人ホイットマンの詩集「草の葉」は偉大だがとても読めない、長すぎる

世界で一番短いホイットマン入門

名詩の紹介:尾崎喜八「夕べの泉」

夕べの泉 (Hermann Hesse gewidmet) 尾崎喜八 君から飲む、 ほのぐらい山の泉よ、 こんこんと湧きこぼれて 滑らかな苔むす岩を洗うものよ。 存分な仕事の一日のあとで、 わたしは身をまげて荒い渇望の唇を君につける、 天心の深さを沈めた君の夕暮の水に、 …

名詩の紹介:『一点鐘』三好達治 昔高校の教科書に必ず載っていた昔を懐かしむ詩

『一点鐘』 靜かだつた靜かな夜だつた時折りにはかに風が吹いたその風は そのまま遠くへ吹きすぎた一二瞬の後 いつそう靜かになつたさうして夜が更けたそんな小さな旋じ風も その後谿間を走らない…… 一時が鳴つた二時が鳴つた一世紀の半ばを生きた 顏の黃ば…

中原中也「帰郷」|おまえはなにをしてきたのだと故郷の風が語りかけてくる時

名詩紹介 中原中也 帰郷 柱も庭も乾いている今日は好(よ)い天気だ 椽(えん)の下では蜘蛛(くも)の巣が 心細そうに揺れている山では枯木も息を吐(つ)くああ今日は好い天気だ 路傍(みちばた)の草影が あどけない愁(かなし)みをするこれが私の故里(…

リルケ「秋の日」|形象詩集最高傑作の孤独がしみわたる詩

リルケ 秋の日 神品芳夫訳 主よ 時です まことに夏は偉大でした いまこそ 貴方の影を 日時計の上に投げ 野に秋風を吹かしめたまえ 残れる果実に 最後の実りを命じたまえ そしてなお 二日の温暖を恵み かれらを成熟へと走らしめ やがて 最後の 甘き果汁もて …

名詩紹介 室生犀星初めて「カラマゾフ兄弟」を読んだ晩のこと

ぼくが好きな詩を紹介しています 【初めて「カラマゾフ兄弟」を読んだ晩のこと 室生犀星】 私はふと心をすまして その晩も椎の実が屋根の上に 時をおいてはじかれる音をきいた まるでこいしを遠くからうったように 侘しく雨戸をもたたくことがあった 郊外の…

ボードレール は全世界の近代詩のたった一人の父である

ボードレールの詩をフランス語で読んだことはない。 正確に言うと、フランス語では読めない。 だからボードレールを語ることはちょっとなのだけど、だから正しくはボードレールの詩を元にその意味を日本語に移した文章から感じたことを語るのだけど、それは…

【漢文超訳集】李白と杜甫の詩をヘッセ風に翻訳してみるとそれは素晴らしい近代的な詩に生まれ変わる

李白 牀前 月光を看る 牀前 月光を看る疑うらくは是 地上の霜かと頭を挙げて 山月を望み頭を低れて 故鄕を思う <夜の静けさの中で月を見て> 夜 人々がもう横になって今日の日に別れを告げて眠りに入ろうとする時刻 月が私のベッドを照らしていることに気づ…

思い切って芭蕉の超訳 【古い寺の古い池にたたずんで】|現代の感性に合わせて解体再構成した

超訳 古い寺の古い池にたたずんで 古池や かわず 飛び込む水の音 前書き 俳句の代表ですね。俳句は翻訳不可能、短歌も翻訳不可能と言いつつ日本人は漢詩を勝手に書き下し文で読み、ドイツの叙情詩でもフランスのシンボリズムでも翻訳で読んでいます。イギリ…

【超訳か創作か】叙情詩人ヴェルレーヌの美しい音楽を解体再構成した試み

ヴェルレーヌの秋の歌 【街の向こうの空のかなたに・・・・・・】 空はこの街のビルの向こうに悲しく青く広がっている人々が通りすぎるだけの街路樹を午前の淡い光が包み込んでいく あの空の青に向かって 少年が走っていく あの空の青に向かって 少女が手を…

超訳ヴェルレーヌ「 秋の歌 」上田敏に捧ぐ|名詩超訳シリーズ

ヴェルレーヌの秋の歌 また秋が扉を開けた 秋の日に寂しさが木々の梢を震わせる誰かが弾くバイオリンの音色が溜息のように泣き声のようにわたしの心を見つめながら通り過ぎていく 子供たちがやさしさに包まれた それぞれの家に帰る時刻 どこかで鐘が鳴ってい…

夏目漱石の漢詩を超訳してみてわかったこと!|近代最高の詩人は夏目漱石だった

古井由吉さんが言うには、日本漢詩の最高峰は室町五山文学だそうです。いやあ、聞いたこともなかったが、室町時代の京の五山の寺の坊さんたちが書いた漢詩。 これがとてつもないものなのだそうです。 さて日本近代詩の有名どころは萩原朔太郎、三好達治、島…

ワーズワースの短い名詩『虹』詩』を超訳すると長い詩になった|意味を解体し構成して生まれ変わる古典の詩

敬愛するワーズワースに捧ぐ 原詩 My Heart Leaps Up -William Wordsworth My heart leaps up when I behold A rainbow in the sky. So was it when my life began; So is it now I am a man; So be it when I grow old, Or let me die! The Child is father…