【ブログ版】世界の名作文学を5分で語る|名作の紹介と批評と創作

YouTubeチャンネル『世界の名作文学を5分で語る』のブログ版です。世界と日本の名作紹介と様々な文学批評 そして自作の詩と小説の発表の場です

名作の紹介|小説 戯曲

ルソー『エミール』のエッセンス|「自然人」の概念がもつ深すぎる意味と人間を紐解くその思想的転回

youtu.be カントが没頭し トルストイが惑溺した ジャンジャックルソー。 ゲーテにさえ影響を与えた彼の 告白と教育の文学的哲学的思索は人類普遍の至宝です ルソーの言葉で有名なのは 「自然に帰れ」 ですね なんとなく大自然の中で暮らそう 都会から離れて …

ホメロスのイリアス|神々のざわめきが聞こえて来る叙事詩

久々の通読を記念して動画をアップ youtu.be 2023年12月22日金曜日 文芸YouTuberムーさんのオンライン読書会『ホメロス物語』 に向けてのメモとしてアップしました ヨーロッパ文学のDNAとしてある意味キリスト教精神よりも入り込んでいるギリシャ人…

2人のヘッセがいた!|ヘルマン・ヘッセの作家としての変容について

ヘルマンヘッセは有名な作家である しかし富士山が、甲府からみる景色と静岡で見る景色、東京から見る景色などみな違うように、ヘッセという風景は様々だ。 こういうことである。 ①車輪の下 と 郷愁 と 春の嵐 と 、初期の叙情詩 を読んだ人がいるとする。 a…

村上春樹の読書体験~1985年から読み始めてほぼ全作品を複数回読みこんで来た読者です 

最初に読んだ村上春樹は1973年のピンボール はじめて読んだ村上春樹作品は1973年のピンボールだった。 ネズミという友人とぼくの話だ。 フローベルを読みながら夏中ビールを飲むだけの虚ろな若者のぼく。 そこに双子の女の子がやってきて奇妙な同棲…

【トーマス・マン作ワイマルのロッテ】若きウェルテルの悩みのヒロインロッテが晩年のゲーテを訪問した実話

ゲーテと言えば一番有名なのは「若きウェルテルの悩み」 ファウストやウィルヘルムマイスターよりも知名度も人気もウェルテルの失恋物語がダントツトップです。 ウェルテルの悩みのヒロインはロッテ。 このロッテは実在の女性でした。名前もロッテ。 シャル…

夏目漱石の『三四郎』と森鴎外の『青年』

漱石の三四郎は明治の優れた青春小説です 三四郎に触発された鴎外の青年はいまいちの評価です 今回は三四郎のすばらしさと共に 実は鴎外の青年も読みごたえのある素晴らしい文であることをお話しています 夏目漱石の三四郎を5分で語る youtu.be 夏目漱石の初…

海の向こうで戦争がはじまる|村上龍の一番好きな作品

素晴らしい小説 村上龍復権です美大生村上龍の 映像イメージの展開小説限りなく透明に近いブルーの続編的な作品 www.youtube.com 動画の紹介 村上龍は #限りなく透明に近いブルー で芥川賞 二作目が この #海の向こうで戦争が始まる そして三作目が #コイ…

ディケンズの「デヴィッド・コッパーフィールド」は超絶面白い

www.youtube.com チャールズ・ディケンズは読めば必ず面白いけど それほど読まれてはいないと思います。 19世紀のイギリスの作家ですが よく映画化もされています。 「クリスマスキャロル」は たいていの人が知っていると思います。 あとは「オリバーツイス…

【クリスマス小説『水晶』】珠玉の短編集「石さまざま」より|オーストリアの作家アーダルベルト・シュティフター

海外の文学作品, それも古典作品の中で、何が読まれているか? それを考えてみると 良い作品、優れた作品が必ずしも読まれるわけではないということに気づきます。 この点は 「翻訳がどんな風にされているか?」 「誰かが注目して翻訳するかどうか?」 「出…

村上春樹の「騎士団長殺し」 を動画で紹介|楽しくわかりやすく村上ワールドを解説

ぼくは村上春樹がデビューして三作目の 羊を巡る冒険 以来 ずっと彼の作品を読んで来ました 私が最初に読んだ 羊を巡る冒険 と2作目の1973年のピンボール デビュー作の 風の歌を聴け は当時 新しい文学の形として とてもサイケデリックな感じさえしていたも…

ヘミングウェイ『海流の中の島々』の思い出|懐かしい青春の書

武器よさらばより心に残るヘミングウェイ作品|海流の中の島々 ヘミングウェイ最晩年のこの小説を読むきっかけははっきり覚えています。 予備校生活が終わりその春休みに読みました。 なぜ読んだかというと、加藤和彦の「パパヘミングウェイ」というレコード…

フォークナーの『八月の光』という小説。はタオを翻訳した加島祥三さんが英文学者時代に翻訳したものだった 古荘英雄

フォークナーの『八月の光』という小説。 30年前の婚約期間中に最初の20ページを読んでやめてしまってました。 結構ぼくは買ってはつまみ読みしてやめてしまうことが多いです。積読という奴ですね(笑) 今は面白く初めて読んでいます。なぜ読もうと思ったか…

フォークナーの 八月の光

フォークナーはアメリカ文学を代表する小説家であり、『響きと怒り』(The Sound and the Fury, 1929) や『アブサロム、アブサロム!』(Absalom, Absalom!, 1936) など多くの傑作を残しているが、訳者はかねてより、最初に読むフォークナー作品としては『八月…

新約聖書についての素人の雑感|遠藤周作 阿刀田高 モーリアックのキリスト像

新約聖書 「おまえの神はどういう神なのか?」 「わたしの神は父なる神である」 というイエスの返事が日本語聖書に載っています。 ここで父を意味するヘブライ語でのアベーは 現代日本語の語感としてパパ、おとうちゃん、との話を聞きまして、 そうすると こ…

太宰治の斜陽|もしかしたら太宰の最高傑作?

意外と名作 もしかしたら最高傑作 今 読了後すぐの気持ちで言えば 太宰治の最良の小説は「斜陽」だと思います 中学2年のとき読んで全然わからず何十年も実家の本棚に眠っていましたから新しくきれいな本のままでした。2021年の夏に再読しました そしたらと…

暗夜行路をかなり丁寧に通読した話|近代日本文学最大級の名作です

暗夜行路:3回目の通読 暗夜行路をはじめて読んだのは中学2年生の時。 当時武者小路実篤にはまっていて親友志賀直哉の代表作ということで読もうと思った。 だがこの時は序の箇所はわかったけど 本編に入ったら意味不明状態になり途中でやめた。 最初の通読…

トルストイ評論集|感想・批評・物思い

anisaku.hatenablog.com anisaku.hatenablog.com anisaku.hatenablog.com anisaku.hatenablog.com anisaku.hatenablog.com anisaku.hatenablog.com anisaku.hatenablog.com 純文学ランキング

【ボヴァリー夫人読了】現代にも通じる小説芸術の鋳型を創ったのがフローベルだと思う|書簡集は短編集のように素晴らしい

小説芸術の鋳型を作ったフローベル 現代にも通じる鋳型を創ったのがフローベルだと思う 文学史的な評価もおおむねそうだ バルザック・スタンダールの手法をフローベルが意図的に形にして それをゾラが受け継ぎモーパッサンが受け継ぎ 19世紀末に 小説は読み…

サマセット・モームについて楽しく語る|最高に面白いストーリーテラーの作家

モームはドイツ人やフランス人のように、文学でもって人生の意味を考えたり、社会の奥に潜む矛盾や問題点を鋭く切り込むような、そんなことはしていません。 しかし人間へのあたたかくも的確なまなざしで、読むものに安心と楽しさを与える作品になっています…

【宮本輝芥川賞作品:蛍川】蛍の乱舞が包み込むそ悲しくもしなやかな人々の生の流れ

youtu.be 宮本輝の作品は ドナウの旅人 優駿 草原の椅子 オレンジの壺 三千枚の金貨 など 息もつかせぬストーリー展開がとても面白い! でもあまりにも 展開がありすぎて 全体の印象が少しぼやけたりします(個人の感想です) 文学史に残る一番本格的な作品…

【トーマス・マン25歳の偉業】『ブッデンブローク家の人々』は完璧なる小説芸術|文芸YouTuberムーさんのオンライン読書会に向けて

トーマス・マンと言えば魔の山だけど だいたいみんな魔の山を思い出すものです もちろんスーパー名作ですが・・・ 北杜夫などはブッデンブロークこそずっと読まれるマンの作品というくらい。これは面白い。政治的なものや文化的なものが入らず純粋に小説とい…

過去2000年間文学鑑賞とは再読のことだった|シュティフター「晩夏」は2回目以降でないとわからない

読書とは再読のことだった! そもそも文学作品とは再読前提で作られていたと思います 古くはホメロスの歌がありますが あれは文章で作られることなく 歌として 歌われる言葉として紡がれたものを後の世の人が文章にしたものです ホメロスオデュッセイアを通…

【八咫烏シリーズ】『烏に単は似合わない』とにかくほんとに面白い!|阿部智里の松本清張受賞作

たまに現代文学を読みますが日本の現代文学にはほぼはずれはない、 何を読んでもそれなりに面白い。 今回読んだ「 #烏に単は似合わない 」は それなりどろこかとてつもなく面白かった! youtu.be 小説家ランキング

ゲーテのファウストを本格的に読む|2023年10月14日オンライン読書会開催

ゲーテのファウストを本格的に読む試みです 約半年前に告知したゲーテのファウスト第二部オンライン読書会が 無事終了しました これがアーカイブです 【ライブ配信】ゲーテ『ファウスト第二部』オンライン読書会|10月14日土曜日夜10時 今回の機会で フ…

シェイクスピアの戯曲はやっぱりすごい!|ヘミングウェイは言った「シェイクスピアの芝居を読むと元気が出る」

シェイクスピアのジュリアス・シーザー|ホメロスとシェイクスピアの共通点 シェイクスピアは読めば必ず面白いけど その深さに到達するには 翻訳で時代を経た私たちにはコツがいるのかもしれない リア王とその周辺についての真剣な考察|ホメロス的精神が鳴…

ヘッセ作「荒野のおおかみ」の事実上の初読

ヘッセ作「荒野のおおかみ」の事実上の初読 たぶん28歳くらいに一度全部読んだはずだが何も覚えていなかった ヘッセの第一次大戦までの作品は頭に残りやすいが 社会批評、人間精神の問題に深く分け入っていく時代の作品は なぜか頭に残らない デミアンもシッ…

【カフカの城:動画案内】1章から20章まで徹底解説|壮大な夢と現実の織り交ざるドラマ

カフカ『城』序にかえて|5章ごとに精読していく試み 最初に全体の概要をお話しています。この小説はいったいどんな小説なのか? 【カフカの城を熟読中:1章~5章】Kが城の村に登場した! 1.到着 2.二人の助手の登場 3.フリーダ 4.おかみとフリーダ 5.村…

永遠の恋愛小説『みずうみ』と名詩の数々|詩人シュトルムが描く美と感性の極致

永遠の恋愛小説のひとつ #テオドールシュトルム の#みずうみ #インメンゼー は悲恋小説です 生涯 一人の女性を思い続ける超 #プラトニックラブ ですが 33歳という年齢だからまだ書けたような気がします 40歳を過ぎたら これは書けないでしょうとい…

トルストイの『戦争と平和』を再読した|ホメロスの叙事詩が19世のロシアに甦った!

━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─ 戦争と平和の通読が終わる ─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━ トーマス・マンは、トルストイの「戦争と平和」が素晴らしいと思えない才能は、もはや才能ではないと言った。好みの問題もあるが敵チームの4番だからあいつは嫌いだといってもすごさは…

逆不条理で文学を読む理由を考える|カミユの手帳<反抗の理由>と<シーシュポスの神話>

逆不条理で文学を読む理由を考える ①気晴らし 退屈しのぎ ②物語を楽しむ 文章を楽しむ ③生きる意味を知りたい 考えたい 世界と宇宙 神について知りたい 考えたい ①阿刀田高 西村京太郎 森村誠一 ②森鴎外 芥川龍之介 生きる意味を求めるのが若者だけど 見つか…