武器よさらばより心に残るヘミングウェイ作品|海流の中の島々
ヘミングウェイ最晩年のこの小説を読むきっかけははっきり覚えています。
予備校生活が終わりその春休みに読みました。
なぜ読んだかというと、加藤和彦の「パパヘミングウェイ」というレコードのネタ本だったからです。
当時加藤和彦が大好きで、結局サディスティックミカバンド以降の全部のアルバムを持っています。
安井かずみが歌詞を書き加藤和彦が曲をつけた何枚かの二人のアルバムの三作目です。
正確には7枚作ったのだったか?
加藤・安井作品で記憶しているのは以下の通り
①それから先のことは
②ガーディニア
③パパヘミングウェイ
④うたかたのオペラ
⑤ベルエキセントリック
⑥あの頃マリーローランサン
⑦マルタの鷹
⑧ボレロカリフォルニア
これを全部持っているわけです
ものすごく聴きこみました
パパヘミングウェイはぼくが高校3年の時に発売されたもので
リアルタイムではかぐや姫とか風とか流行っていた時代、レッドツェッペリンやディープパープル、イエス、ピンクフロイド、EL&Pの時代です。
レコートアルバム パパヘミングウェイの世界観
このレコードは若きヘミングウェイがパリで過ごしたモチーフからはじまり、恋人と別れた男が(実際には最初の妻ハドリーと離婚)やがてカリブ海の陽光の中でたくましく生きる姿を流れの中で歌っている名盤です。
パリの後のヘミングウェイ
ヘミングウェイは最初の年上の妻ハドリーを死ぬまで愛していたというのがぼくの独断的意見です。日はまた昇るの前に書いた、本当の第一作目となる長編小説を、旅先の夫のために持ち運ぶ途中盗難にあって、その通称「ヘミングウェイペーパー」
と呼ばれる幻の長編小説は今日でも行方不明です。
盗難がわかった夜、彼がハドリーにしたことは一生の秘密だったそうです。
やがてボーリンという若い女性と良い仲になってハドリーに発覚、
彼女と別れて100日堪えられたら私は離婚すると妻に言われたヘミングウェイはヨーロッパからアメリカに戻り100日を待ってボーリンと再婚。
その後も相手は変わり、結局全部で4回結婚しました。
そして読んだパパヘミングウェイ
ぼくは加藤和彦のレコードを何回も聞いたあとヘミングウェイを読みました。
その最初が「海流の中の島々」。
冒頭の高名な画家、トマスハドソンの男の孤独の描写はとても好きです。
小説は結構悲惨な話になっていきます。三人の息子が二人は飛行機事故で、長男は戦争で死ぬんです。
最後は自殺したヘミングウェイの絶望の一端があったのかもしれません。
しかし加藤和彦も自殺しました。
その二人とも大好きなぼくが自殺する可能性は何%でしょうか。
ヘミングウェイの死後半年たってぼくは生まれたから生まれ変わりかもしれません(笑)
ヘミングウェイについて言えば最初の妻ハドリーと離婚しなければ、
二人とも自殺しなかっただろうと確信しています。
それは50代になって実感として思うところです。
このパリ時代の本を読むと、ハドリーなしでヘミングウェイが生きていくなど不可能だったんじゃないかと思えてくるんです。