【ブログ版】世界の名作文学を5分で語る|名作の紹介と批評と創作

YouTubeチャンネル『世界の名作文学を5分で語る』のブログ版です。世界と日本の名作紹介と様々な文学批評 そして自作の詩と小説の発表の場です

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

自作の詩作 記念写真

文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ 記念写真 父母の家に昔の写真が飾られるようになった 目の前の老人が自分の配偶者であるのも何だから 互いの若い姿を見るためなのだと言う 一枚だけさらに時を越えて 今は亡き祖母と手を繋ぐ小学校一年生の母…

自作の詩 最後の風  by 海部奈尾人

文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ これが最後の風であると・・・・・・ 通り過ぎて来た数多のわたしが その午後 重なり始め やがて 一つに収束する そのとき これが最後の風であると ありとあらゆるわたしが はっきりと知る 誰一人反駁すること…

自作の小説 聖徳太子の遺書  第三話

文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ 発見2 ぼくはリトルリーグで野球をはじめて以来、春休みも夏休みも冬休みも、野球抜きの生活をしたことがなかった。 だからその日、朝からグラウンド以外のところへ行く用事で、ごく普通のシューズを履いて、…

自作の詩 赤い灯台の歌 by 辻冬馬

文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ 赤い灯台の歌 あの 夕立のあとの 雨露に輝く草や葉や 若い瞳のきらめきが まっすぐな道のように 今のぼくまでのびていて ぼくはあの日の涼しい空気に いつでも自由に帰ることができる 混沌 爆発する時代 力の…

自作の小説 聖徳太子の遺書 第二話

文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ 聖徳太子の遺書 発見1 春休みになると、野球部の練習は新年度に向けて少しだれ気味となっていた。 レギュラー争いもほぼ終わっていた。ごくたまにスーパー1年生が入部と同時にレギュラーを取るがそんなこと…

自作の詩「彼女の夢の途中」  by 辻冬馬

文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ 「彼女の夢の途中」 即興詩 その夜はそんなふうに過ぎていった 出張から戻った彼女は家に帰らず あのバーでワインを飲んでいた もし彼が ドアを開けずに店が閉まれば 彼女はもうひとつの旅に出る もし彼が隣に…

連載小説  聖徳太子の遺書   2018/2/22  序

文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ 聖徳太子の遺書 序に変えて 球団から解雇の話をもらってから目まぐるしく時が流れた。 プロ野球の投手として、もう一花咲かせたいというぼくの希望に妻の同意を得てから、合同トライアウトへ向けてトレーニン…

自作の詩 結婚する友の肖像   詩

文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ 結婚する友の肖像 古荘英雄 一九九九年四月十日 もしかしたら幼い君は 積もった雪の下の 春に備える草木の営みや 成長に専念する虫たちの忍耐を 心に焼け付けはしなかっただろうか あの頃ほっつき歩いた学生街…

自作の詩 群れ    詩作  by辻冬馬

文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ 群れ 中に立ち入れば 禍事も慶事も群れの中に隠れている 人々は互いに感じ合って ざわめきが収まる気配はない 反応の連鎖に疲れ 感覚に自他の区別が消え いつの間にか中心が空洞となり 群れが出来上がる 表情…

自作の詩の創作  雨垂れ  by 辻冬馬

文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ 雨垂れ ふと 早朝の五時 窓越しに 庭を濡らす雨があった たたずむ人の 幻を編み上げながら 湿気が寝息のように微かに揺れて 穏やかさが 雨音の中で次々に生まれる とはいえ それは 幾多の 災厄の場にも しめや…

自作の詩  約束の木々に吹く風

文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ 合作(古荘 海部 辻) 写真:じゅん松本さん 代表 辻冬馬 約束の木々に吹く風 あれはまだぼくが 父さんと母さんと暮らしていたころのことだ そして あの霊に満ち満ちた愛犬が ぼくの前を長いリードをぴんとは…

自作の詩  にらめっこ

文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ 二つの針の微妙な配置が 時計盤に表情を作り出し 申し分のない話相手が出現する それは晴れ舞台や何かの幕引に いつも一緒だった もちろんただの日常の波間にも その存在が意識を離れたことはない ぼくが死ん…