文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ
二つの針の微妙な配置が
時計盤に表情を作り出し
申し分のない話相手が出現する
それは晴れ舞台や何かの幕引に
いつも一緒だった
もちろんただの日常の波間にも
その存在が意識を離れたことはない
ぼくが死んでも無機質に旅を続けるはずだ
ゆらぐことなく整然としたリズムで
表情を作ったり
ただの文字盤になったり
この小さな顔が先々には
そんな深淵にまで関わりを持つことに
思い当たってぼくは笑えなくなった
そのとき針の人の目にわからぬほどの
微妙なずれが微笑みを生んだ
ぼくが勝った