【ブログ版】世界の名作文学を5分で語る|名作の紹介と批評と創作

YouTubeチャンネル『世界の名作文学を5分で語る』のブログ版です。世界と日本の名作紹介と様々な文学批評 そして自作の詩と小説の発表の場です

2017-01-01から1年間の記事一覧

自作の詩 猫の村

文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ 猫の村 ぼくと共に ここまで育ってきたものたち ぼくらは雑草の中の ほったて小屋で生まれた よく晴れた日に 早朝の満ち潮に運ばれて この世にたどり着いた 猫が見守っていたらしいのだ 起き抜けに背中を伸ば…

自作の詩 仕事の合間に長田宏の詩集を立ち読みして  by辻冬馬

文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ 仕事の合間に長田宏の詩集を立ち読みして それは「人生の特別な一瞬」 というタイトルで 風景と日常を細やかに描く 小説における描写とは違う何かを感じる おそらくは自己完結する世界を描くからだ 小説のなか…

「自作の詩  超音速攻撃ヘリ エアーウルフ」    by辻斗真

文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ エアーウルフ マッハ1プラス by辻斗真 「超音速攻撃ヘリエアーウルフ」というアメリカのテレビ番組がかつて人気を呼んだ。アフリカの砂漠で恋人を殺した男にミサイルを撃ち込み、最初の攻撃で男はあとかたも…

【自作の小説】五人目のサンタの約束 ~クリスマスの思い出~

『五人目のサンタの約束 ~クリスマスの思い出~ 』 ※この小説は<あべよしみ朗読の部屋>チャンネルさんによって 2022年の12月24日クリスマスイブに朗読アップされました www.youtube.com 仁美は平静でいられなくなり、自分にはすねる権利があると…

文学エッセー「青春のトーマスマン」  

青春のトーマスマン かつてヘッセとカロッサについての詩を書いた。カロッサにいたっては小説まで書いた。 anisaku.hatenablog.com 彼らは高校と中学にどっぷりとまたがる読書体験であったのだし、散文も詩も繰り返し読んだから特別に愛着深い存在だった。 …

自作の詩 分かち合う時の雫

文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ 分かち合う時の雫 by 辻斗真 同じ時代に生きていながら 違う時のリズムを刻む そこという場に閉じ込められた特定人数の人たち。二十人程度であれば自分たちだけが他の人々と切り離されてここに自分の意志にか…

文学エセー 旅の終わりの『書物』たち

随筆エッセー 文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ 旅の終わりの『書物』たち 古荘英雄 人生の最後をホスピスの個室で過ごした父の周りには愛読書というものはなかった。 意識が朦朧とする時期は別にして、体調が良好だった二週間にも本を読むこと…

自作の詩「山上の青空」  最後  山頂  青空  回想  奥儀

詩 文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ 山上の青空 by 辻斗真 最後の山歩きで 探していた青空を見つける そして過ぎ去った年月に この青空を知っていたならと 悔いを残しながらも そこから思い出すすべての青空に この発見を教えてやれば 時間…

自作の詩【ハンス・カロッサという在り方】  EU 西ドイツ バイエルン  人間性 古い泉

ハンス・カロッサという在り方 1. 中学、高校の頃、行きつけの本屋には当時にしてすでに随分と昔の出版物である『世界の詩集』がそろっていた。そこで買った何冊かがぼくの詩の原体験である。ランボー、ボードレール、八木重吉、清岡卓行、ヘッセ、ネルーダ…

自作の詩   「同じ一つの物語」地球 猫 子供 明の明星 宇宙

詩 文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ 同じ一つの物語 by 辻斗真 同じ時刻に同じ方向に ひときわ照り輝く星がある 長い年月が経ち 再び猫の親子と巡り会う 母猫は前足と後ろ足で 目の開く前の我が子数匹を囲んで 乳を飲ませる 母猫はそれを覗く…

自作の詩|「ヘッセ幻想」テロ・戦争・感傷と成長・神々の反乱

詩「ヘッセ幻想」 古い校舎を再び訪ね 今は廃墟になっていようと かつて学んだことと かつてそこにあった心のすべてを 「場」というものから瞬時に思い出す 「デーミアン」「荒野の狼」 「ナルティスとゴルトムント」「ガラス玉演戯」 これらの作品には成長…

東洋の彼女~キムヒソンがジャッキーチェンと共演する映画神話を見ているとついに東洋を見つけたと思った

詩 文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ 東洋の彼女 by 辻斗真 彼女は異国の女でありながら 白人でも黒人でもない 近代化ののち 黄色人種が外国人であるという概念が 私たちの頭の中から消された 彼女は東洋の美 ある種の思い出そのものとつながる…

【小説 お接待 】 花祭り 地獄図と観音 マリア様  入れ墨と金星と朝日と海

小説 文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ お接待 古荘英雄 *お接待=お釈迦様の誕生日に花祭が行われそれにちなんで甘茶やお菓子などがお接待として振舞われる。この村では子供たちに早朝小遣い銭を渡すのがお接待として続いていた。 花祭りの日…

自作の詩「にらめっこ」  日常  死  微笑みby辻冬馬

文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ にらめっこ 二つの針の微妙な配置が時計盤に表情を作り出し申し分のない話相手が出現するそれは晴れ舞台や何かの幕引にいつも一緒だったもちろんただの日常の波間にもその存在が意識を離れたことはない ぼくが…

小説 「きもだめし」   故郷 少年時代 戦後

文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ きもだめし by 古荘 英雄 夏の太陽が、午後の海に向かって有らん限りの光の矢を射っていた。ゴムボートに寝そ べって、ぼくは幼い夢に揺られていた。水平線の上に巨大な雲の固まりが浮かんでいた。 入道雲の、…

自費出版で詩集や短編集を出す文化からキンドル無料出版へ

自費出版の文化 かつては詩を書きためたら詩集にして、短編を書きためたら短編集にして長編を書いたら一冊の本にして、たとえ出版社が出さなくても自費出版して残す人も多かったものです。 自費出版の場合は、だいたい年賀状と同じ数だけ印刷します。まあ、…

自作の小説『祖父の時計』|灯台 戦争 結核 ペルー らむぷ掲載

母方の祖父は村で一番貧しい家に生まれて、七十八年後に最も裕福な人間として死んだ。 わたしが小学校に入学して間もない頃、祖父は入院した。直らない病気にかかってしまったので、病院からもう戻っては来ないのだと母から教わり衝撃を受けた。それは、その…

自作の詩 キーツの詩 神 花 イタリア

詩 BY 古荘英雄 イタリアへ旅発つジョン・キーツを思い描いて 無垢な少女の口元から血があふれ、有機体とは思えぬほどに透き通る真っ白な口元に、一筋の真紅の流れが生まれる。それは命そのものでありながら人の目に触れたとたん死神そのものに変わる。 こぼ…

【私の文学修行】「文学作品」と「作家」と「批評」の関係|文芸誌らんぷと詩誌パルナシウスの会

「作品」と「作者」と「批評」についての思い出 長いエッセー ぼくは10年ほど 福岡の文学同人誌「文芸誌らむぷ」で小説を書いてました。 らむぷ はセカチューの片山恭一さんや高樹のぶ子さんも所属していましたが、 高樹のぶ子さんはまさにらんぷに発表した…

自作の詩  花 影 やすらぎ

詩 文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ by辻冬馬 世界のあらゆる場所にささやかに表れる安らぎは 常に破壊されよみがえり 結果としていつもどこかにそれはある 白い花の影 白い花の 影が 揺れる その影の中で 名も知らぬ命が やすらっている 名も…

【超訳か創作か】叙情詩人ヴェルレーヌの美しい音楽を解体再構成した試み

ヴェルレーヌの秋の歌 【街の向こうの空のかなたに・・・・・・】 空はこの街のビルの向こうに悲しく青く広がっている人々が通りすぎるだけの街路樹を午前の淡い光が包み込んでいく あの空の青に向かって 少年が走っていく あの空の青に向かって 少女が手を…

超訳ヴェルレーヌ「 秋の歌 」上田敏に捧ぐ|名詩超訳シリーズ

ヴェルレーヌの秋の歌 また秋が扉を開けた 秋の日に寂しさが木々の梢を震わせる誰かが弾くバイオリンの音色が溜息のように泣き声のようにわたしの心を見つめながら通り過ぎていく 子供たちがやさしさに包まれた それぞれの家に帰る時刻 どこかで鐘が鳴ってい…

自作の詩 彼の消息

詩 by古荘英雄 文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ 創作ノートの文章を散文詩という名目でアップしましたが、開き直って散文詩なんだということにして。 すると散文詩集「創作ノート」が自動的にできるかなあと思いました。カミユの手帖。太陽の…

自作の散文詩  ボールとの別れ

詩 by 古荘英雄 文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ 小説用の創作ノートの文章で、単独で読めるものを散文詩のつもりでアップしてみました。カミユの太陽の賛歌や反抗の論理の中の文章は素敵だが。これは詩だろうか? この文章をもとに5つの短編…

夏目漱石の漢詩を超訳してみてわかったこと!|近代最高の詩人は夏目漱石だった

古井由吉さんが言うには、日本漢詩の最高峰は室町五山文学だそうです。いやあ、聞いたこともなかったが、室町時代の京の五山の寺の坊さんたちが書いた漢詩。 これがとてつもないものなのだそうです。 さて日本近代詩の有名どころは萩原朔太郎、三好達治、島…

ウルトラセブンの最終回は映画だった!

ウルトラセブンの最終回、「史上最大の侵略」。 正体を告白するダン。アンヌとの別れ。 アンヌ、僕はね、僕は人間じゃないんだ。M78星雲から来たウルトラセブンなんだ!!! このあたりからシューマンのピアノが鳴り出す。 ダン、変身したら死んでしまう…

ワーズワースの短い名詩『虹』詩』を超訳すると長い詩になった|意味を解体し構成して生まれ変わる古典の詩

敬愛するワーズワースに捧ぐ 原詩 My Heart Leaps Up -William Wordsworth My heart leaps up when I behold A rainbow in the sky. So was it when my life began; So is it now I am a man; So be it when I grow old, Or let me die! The Child is father…