【ブログ版】世界の名作文学を5分で語る|名作の紹介と批評と創作

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自作の詩 分かち合う時の雫

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分かち合う時の雫  by 辻斗真

                    


同じ時代に生きていながら

違う時のリズムを刻む

   

 そこという場に閉じ込められた特定人数の人たち。二十人程度であれば自分たちだけが他の人々と切り離されてここに自分の意志にかかわらず留め置かれたと思うものだが、六十億の人が一千億人と言われる人類の死者たちと離れてこの時間に閉じ込められているとは考えない。

















始まりも終わりも違う

仮初に夜と昼と朝を共にする

別々のことを考え

それぞれの方向を目指して

それでも今日は同じ時間の同じ場所に

生きる

だが突然の休止もまた別々に来るから

実は時代の気分さえ共有してはいないのだ


     満州や朝鮮から引き上げてきた人たちとこの私とは同じ場にいてもまるで違う時代を実は今ここにおいても生きているのだ。



わたしたちが分かち合えるものは

何もない 

たまたま同じ場所にいるときに

自分勝手な言葉を置きあうだけだ

わたしたちが実は

救いようもなく孤独なのだと

わたしたちの誰もが忘れてしまった

かつては孤独を紛らすために

壮大な架空を繰り広げたが

今は鼻で笑ってばかばかしく死んでいく

野垂れ死にの時代だ


そもそも元々わたしたちは孤立したものではなく、より高次なものに守られて生まれるそこから孤立し最後は再び一体感にたどり着く。そう考えたいと思っている


みな勝手に動いているのにそこには

昆虫のようなハーモニーがある

自我以前のシステムがある

それなのに

わたしたち

よく見れば

智恵のついた猿が殺し合い

巨大な巣を作り

猿らしく

どう生きていいかわからず


自らの智恵をもてあます