【ブログ版】世界の名作文学を5分で語る|名作の紹介と批評と創作

YouTubeチャンネル『世界の名作文学を5分で語る』のブログ版です。世界と日本の名作紹介と様々な文学批評 そして自作の詩と小説の発表の場です

創作ノート・デッサン集

【創作ノート:ある女の精神構造】2021/6/3

【創作ノート:ある女の精神構造】2021/6/3***********************業界共通試験といえば生保の世界では当たり前の存在だ。入社すると一般課程試験、専門課程、応用課程、変額試験、国債窓販、損保、生保大学6科目、と入社3年間はい…

【小説のための文章デッサン】小学校の時、缶蹴りという遊びをお寺の境内と墓場でやった思い出

子供のころ、秋になると缶蹴りをよくした。だいたい、地域の小学生が学年を越えて10人くらい集まると村のお寺の境内で缶蹴りがはじまった。 ルールは簡単。小さい丸を書いてそこに適当なカンを置く。 夏は暑いし蚊もいるからしない。冬はじっと隠れていると…

【かなり面白い長編小説の書き出し】量販店「伊豆沖ランド」の倒産記者会見|序章から第二章途中まで

序 嵐の店内放送「明日は台風19号の影響により、お客様の安全確保を考慮し、臨時休業とさせていただきます」 首を洗う気分で立ち寄った本社から最寄りの営業店の店内に、この放送が流れたとき、山岸はほっと胸をなでおろした。 3時間まえのことだ。大型台風…

【創作のためのデッサン】「夏の風とともに」

一回に「ワン パラグラフ」の連載小説。時々多めに。 「 夏の風とともに 」 ① その年のビーチは暇だった。8月になっても梅雨が居座り続け気温だけが上がって行った。 峯健司のバイト先の「海の家」も毎日ぱらぱらの人出だった。時給は変わらないからとても嬉…

【SF小説の創作ノート】滅亡からの旅立ち|第一章第3話<ツキヨミの姿>

宇宙艦ができるまでは月面基地に一端設置されたコンピューターミカエルは探査艦ツキヨミの設計と製造のほぼ100%を請け負った。製造器具に内臓されたコンピューターもみなミカエルソフトであった。 ミカエルはツキヨミの動力に重力牽引装置を作った。これ…

【SF小説の創作ノート 出だし部分】宇宙探査艦月読命(ツキヨミノミコト) 第一章 第2話 太陽膨張論と二つのコンピュータ【海部】

宇宙探査艦月読命(ツキヨミノミコト) 第一章 第2話 太陽膨張論と二つのコンピュータ スーパーコンピューターミカエルは、各国が誇るAIのすべてをつないだ時に現れたスーパーAIアースを宇宙船用に改変したものである。 アースは限りなく脳に近く思考するように…

【これは本格SF小説のちゃんとした出だしだ!】宇宙探査艦月読命(ツキヨミノミコト) 第一章 第一話 ツキヨミとミカエル 海部

宇宙探査艦月読命(ツキヨミノミコト) 第一章 第一話 ツキヨミとミカエル スーパーAIコンピューター「ミカエル」は声を無限に持っていたが、司令室では2種類を使い分けていた。 宇宙船 「ツキヨミ」の運行については女性の声で、未知との遭遇や緊急事態や戦闘に際…

【創作のためのデッサン】『旅人の物語』第3章<馬車で薔薇の家に着く>

旅人の物語 第3章 「馬車で薔薇の家に着く」 馬車の移動は夜行われた。 体を休め、眠っている間にウィーンからアルプスへの旅も終わろうとしていた。 馬車の窓から上空が紫色に染め上げられるのを眺めた。もう何度も太陽のもとで歩き、夜になると憩いの時を…

旅人の物語 第3章 「馬車」① 第二稿 海部奈尾人

旅人の物語 第3章 「馬車」① 第二稿 馬車の移動は夜行われた。 体を休め、眠っている間でさえ、船と同様動き続けることができるからだ。太陽のもとで歩き、夜になると憩いの時をもち、あまりのも遠さのため目的地を考えることなく、いつも翌日の天気を気に…

ギリシャ神話の彼方に  第一章 第一話 辻冬馬

ギリシャ神話の彼方に 第一章 第一話 ********************** 夏の太陽を見ると古代ギリシャを思いだすのは、ギリシャ人の生まれ変わりだからではないのか? 遠藤光司がそう思ったのは小学校6年生の夏休みだった。あの頃は、ギリシャ…

馬車 海部奈尾人

馬車 まずは歩いた。するとそよ風たちが頬を流れるのだった。 最初の旅は急ぐ旅でもなかった。鳥が空たかく丸を描いて飛んでいた。時々立ち止まって大きく空気を吸い込んだ。 それから馬車の時代が来た。馬にまたがり駆けるものもいた。私は、馬車に揺られて…

若きシヴァとオシリスに吹く風  海部奈尾人

レムリア文明最後の女性大統領シヴァと、それに仕える脳力者オシリスは若い時ともに同じ学園で過ごした。 ******************** 蝶が飛ぶ。 蝶は風そのものとされていた。見えない風の動きを忠実に再現して飛んでいる。人は蝶を見ること…

ある移住 第6章から19章を省略 【第20章 最後の審判】海部奈尾人

シヴァ大統領はオシリスたちの思念の凝縮した泡の中にいる。 その泡の表面はエネルギーが発光し、光り輝く玉になった。 そしてオシリスたちは今や物体としての在り方をやめ、エネルギー存在として、シヴァ大統領の周りを守るように浮かんでいた。 人々は空に…

ある移住7/27  第2章【間に合わない!!】海部奈尾人

脳力者の長オシリスの警告を受けた大統領シヴァは大避難計画を練るが決断できない議会のせいで実行が遅れる シヴァ大統領はオシリスに命じてできるだけ多くの都市に、大洪水のまじかなことを伝えようとした。脳力者のいる都市はあちこちに点在していた。思念…

ある移住7/27  第一章【大洪水へのオシリスの警告とシヴァ大統領の苦悩】海部奈尾人

ある移住7/27 第一章【大洪水へのオシリスの警告とシヴァ大統領の苦悩】 1・ 私たちの知る年代で測ればそれは西暦紀元前1万2000年のことだった。 日ごとに海面が上昇していく様は、港の桟橋が干潮時でも水の中にあることからも誰の目にも明らかだった。 こ…

小説『ふたり』下書きデッサン

「ふたり」 神木はカーナビと前方の道路を素早く見比べながら、 狭い路地を運転していた。 古い街並みに情緒を感じながらも 、助手席の千草のおしゃべりに少し うんざりしかけていた。 普段は千草と過ごす時間は穏やかで 、2人の会話もそんな時間にふさわし …