【ブログ版】世界の名作文学を5分で語る|名作の紹介と批評と創作

YouTubeチャンネル『世界の名作文学を5分で語る』のブログ版です。世界と日本の名作紹介と様々な文学批評 そして自作の詩と小説の発表の場です

自作の小説「軍医の幻影」 カロッサをモデルにした戦争と文学をテーマにした小品

かつて参加していた文芸誌らんぷに掲載した小説です ドイツの詩人作家であるハンス・カロッサをモデルにしています カロッサは第一次大戦に軍医として従軍してルーマニア日記も書きましたが そのカロッサが終戦直後にフランスの戦線からドイツに還る様子を小…

境界の村で

境界の村で 古荘英雄 灰色の海面が大きくゆっくりとうねっている。うねりとうねりがぶつかる所では白い波頭が生まれ、沖合いのあちこちに数多く踊っている。うねりはそのリズムの中で、定期的に岸の方にも来る。それはそのまま岩場にせき止められ、あるいは…

世界文学の名作マイベスト30|詩から小説まで150作品から選ぶ最終8作品とは?

私の中の世界文学の名作品に敢えて順位をつけてみました。 前半は気分で。後半はエクセルを使って約150作品から厳密に消去法をしました youtu.be 動画中で使用したエクセルデータを掲載しています よろしかったらご覧ください

堀辰雄『風立ちぬ』の深読み解説|動画付き(わが祖母に捧ぐ)

youtu.be みなさんこんにちわ 古荘です 今回は堀辰雄の名作風立ちぬ について お話していきます ジブリが同名の映画を出したこともあって相当有名なタイトルになりましたね 実は私は過去にも風立ちぬについて話しました 今回は久々に通読したのでそれを記念…

村上春樹「ノルウェイの森」の世界を徹底解釈するとネガティブになった話

www.youtube.com ⓪大衆には色とりどりの花を|その中に識者にだけわかる芸術をいれるのだ トーマス・マン ゲーテとの対話より 花で読まれているのではないか? 村上春樹の世界は短編小説なんだよ 長編にすると齟齬が生まれるのだ ①キズキと直子とぼくは集合…

【文学的故郷とは何か?】ヘッセ『世界文学をどう読むか』から|ドイツ文学の純朴な精神と朗らかな生の歩みを味わう

あなたは 文学的故郷を持っていますか? ヘルマン・ヘッセ著「世界文学をどう読むか」 ヘルマン・ヘッセ著「世界文学をどう読むか」という100ページにも満たない小冊子がある。冒頭からいきなり素晴らしい一文で始まるのだが作家を目指す人にはぜひおすす…

語源で考える「古典」と「clssic」の本当の意味|ホメロスとダンテと荀子

音楽でも文学でも classicの翻訳が古典である クラシック音楽はクラシックミュージック クラシック文学は古典文学となる なので19世紀のフローベルやバルザックやトルストイを古典文学というと 近代文学だ、古典と言えるのはシェイクスピアとか源氏物語と…

ヘミングウェイの キリマンジャロの雪

www.youtube.com 今回ご紹介するのは ヘミングウェイの キリマンジャロの雪 です ヘミングウェイの短編キリマンジャロの雪は 武器よさらば や 日はまた昇る によく似たシーンも登場します 映画にもなったこの名作短編は想像を喚起し人生について考えさせてく…

リルケの「ドゥイノの悲歌」の全体像が頭に入らないという話

ドゥイノの悲歌はリルケの代表的な詩集?です 第一の悲歌から第10の悲歌まで10の長詩で構成されています さてこれほど長い詩であるにもかかわらず あちこちでリルケ的な ハっとするような表現が(翻訳されていてもリルケ的とわかる)散りばめられていま…

【文学雑感】リルケとカフカの作品には凋落する「黄昏の帝国」の歌が流れる|19世紀末のハプスブルク帝国に住んでると人は絶望する

リルケを読んでいると その作品世界の向こうにいつもこんなことを感じます マルテもドゥイノも黄昏のオーストリアハンガリー帝国の 雰囲気の影響を受けているように思えるということです 実はカフカの城や審判にも同様の印象があり もしもカフカの小説舞台が…

最近の私の読書後の気分

最近の文学読書はことごとく動画に挙げています 直近はリルケの 若き詩人への手紙 その前が パーカーの 晩秋 でした 晩秋の前は 1か月ほど源氏物語についてあれこれ目を通していました そんなに多読でもないのですが 読んで気に入ったものは 再読精読します…

リルケ『若き詩人への手紙』を精読・深読み・徹底解説しました

www.youtube.com リルケがカプスという若者に宛てて書いた10通の手紙には リルケの世界観 孤独感 人間観が凝縮しています しかし リルケ的表現のオンパレードで異様に難しいものとなってもいます 今回はそんな手紙の 勝手な深読み解説です 純文学ランキング

ブログ版|坂口安吾『堕落論』の普遍性

坂口安吾『堕落論』の普遍性|時間的にも空間的にも俯瞰するとき現れる日本版 『ツァラトゥストラの再来』 www.youtube.com 坂口安吾の堕落論を読んでいたらヘッセのツァラトゥストラの再来とデミアンを思い出しました そしてルソーのエミールも思い出しまし…

ロバート・パーカーのスペンサーシリーズから|『初秋』と『晩秋』

今回は純文学には入りませんが アメリカのミステリー作家 ロバートパーカーの スペンサーシリーズからご紹介です レイモンド・チャンドラーのフィリップマーロウの後継者的に一時期とても流行りました マーロウと違っておしゃべりで楽しく 哲学的です しかし…

井上靖『孔子』を30年ぶりに再読した

www.youtube.com 井上靖の孔子を読んだのはもう30年近く前です これは孔子と弟子の物語だから いわゆる男女の恋愛やロマンはありません つまり男性だけの限られた少数の人間集団の 思想的生活のドラマです 面白くなさそうですね(笑) でも結構面白いです …

文学朗読とは演奏である|日本語の朗読と翻訳の朗読

www.youtube.com 小説の中を抜粋して朗読します 1~3分ほど 三島由紀夫 志賀直哉 森鴎外 夏目漱石 堀辰雄 を読み比べ いや 文体の味わい比べをやってみます www.youtube.com 引用朗読は以下の時間配分になっています トルストイ 戦争と平和 3分~9:02 ヘ…

ガルシア・マルケス『百年の孤独』|ある一族と町の100年間の絵巻物

ある町のある一族の百年の歳月を卓越したエピソードを積みかさねて 刻み上げる世紀の名作でした 【熟読した!】ガルシア・マルケスの『百年の孤独』|ある一族と町の百年にわたる一大絵巻物 youtu.be 大学時代に新聞見出しで新刊として紹介されていたのが ガ…

【私の源氏物語事始め】原文と翻訳とガイドブックの三本柱で読み進める|源氏物語あれこれ

www.youtube.com 源氏物語は巨大な山 いえ山脈ですね 西欧の近代長編小説と比較されることもよくありますが 戦争と平和やカラマーゾフの兄弟やジャンクリストフよりもはるかに長い マルセルプルーストの『失われた時を求めて』が匹敵するくらいでしょうか こ…

ヘッセが愛したヘルダーリンの詩とメーリケの小説『画家ノルテン』とモーツァルトのフィガロの結婚

ヘッセが若き日の読書と若き日の音楽鑑賞へ捧げた3編の詩をご紹介します ①ヘルダーリンへの頌歌 ②画家ノルテンを読んで ③魔笛の入場券を持って www.youtube.com ヘッセの3つの詩 動画では、年を経て ヘッセが若き日に愛読した本や愛して好んだ音楽を 詩に…

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ルソー『エミール』のエッセンス|「自然人」の概念がもつ深すぎる意味と人間を紐解くその思想的転回

youtu.be カントが没頭し トルストイが惑溺した ジャンジャックルソー。 ゲーテにさえ影響を与えた彼の 告白と教育の文学的哲学的思索は人類普遍の至宝です ルソーの言葉で有名なのは 「自然に帰れ」 ですね なんとなく大自然の中で暮らそう 都会から離れて …

ホメロスのイリアス|神々のざわめきが聞こえて来る叙事詩

久々の通読を記念して動画をアップ youtu.be 2023年12月22日金曜日 文芸YouTuberムーさんのオンライン読書会『ホメロス物語』 に向けてのメモとしてアップしました ヨーロッパ文学のDNAとしてある意味キリスト教精神よりも入り込んでいるギリシャ人…

2人のヘッセがいた!|ヘルマン・ヘッセの作家としての変容について

ヘルマンヘッセは有名な作家である しかし富士山が、甲府からみる景色と静岡で見る景色、東京から見る景色などみな違うように、ヘッセという風景は様々だ。 こういうことである。 ①車輪の下 と 郷愁 と 春の嵐 と 、初期の叙情詩 を読んだ人がいるとする。 a…

作家目線・書き手側の視点で見た世界文学のすごい作家たち

youtu.be 小説を10年、詩を40年書いてきました 高樹のぶ子さんが芥川賞を受賞した 光抱く友よ を掲載した文芸誌らんぷに 世界の中心で愛を叫ぶ の片山恭一さんも所属して文芸誌らんぷに まさに加入して10年間せっせと書いていました。 で ぼくは小説現…

村上春樹の読書体験~1985年から読み始めてほぼ全作品を複数回読みこんで来た読者です 

最初に読んだ村上春樹は1973年のピンボール はじめて読んだ村上春樹作品は1973年のピンボールだった。 ネズミという友人とぼくの話だ。 フローベルを読みながら夏中ビールを飲むだけの虚ろな若者のぼく。 そこに双子の女の子がやってきて奇妙な同棲…

文学の文体についての考察|作品の良し悪しを決めるものとは?

文学YouTubeチャンネルに最近アップした動画のご案内です 文体についてあれこれ自分流に考えていきました 文学の楽しさの根底には文体がある 文体がつまらない小説などはどれほど面白くてもつまらない それは翻訳を考えるとわかりやすいです 名作でも翻訳が…

【トーマス・マン作ワイマルのロッテ】若きウェルテルの悩みのヒロインロッテが晩年のゲーテを訪問した実話

ゲーテと言えば一番有名なのは「若きウェルテルの悩み」 ファウストやウィルヘルムマイスターよりも知名度も人気もウェルテルの失恋物語がダントツトップです。 ウェルテルの悩みのヒロインはロッテ。 このロッテは実在の女性でした。名前もロッテ。 シャル…

夏目漱石の『三四郎』と森鴎外の『青年』

漱石の三四郎は明治の優れた青春小説です 三四郎に触発された鴎外の青年はいまいちの評価です 今回は三四郎のすばらしさと共に 実は鴎外の青年も読みごたえのある素晴らしい文であることをお話しています 夏目漱石の三四郎を5分で語る youtu.be 夏目漱石の初…

海の向こうで戦争がはじまる|村上龍の一番好きな作品

素晴らしい小説 村上龍復権です美大生村上龍の 映像イメージの展開小説限りなく透明に近いブルーの続編的な作品 www.youtube.com 動画の紹介 村上龍は #限りなく透明に近いブルー で芥川賞 二作目が この #海の向こうで戦争が始まる そして三作目が #コイ…

ディケンズの「デヴィッド・コッパーフィールド」は超絶面白い

www.youtube.com チャールズ・ディケンズは読めば必ず面白いけど それほど読まれてはいないと思います。 19世紀のイギリスの作家ですが よく映画化もされています。 「クリスマスキャロル」は たいていの人が知っていると思います。 あとは「オリバーツイス…