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文学日記 文学的故郷を持っていますか?  HF


文学的故郷を持っていますか?

ヘルマン・ヘッセに「世界文学をどう読むか」という100ページにも満たない小冊子がある。冒頭からいきなり素晴らしい一文で始まるのだが作家を目指す人にはぜひおすすめの随筆である。

その中にこんなくだりがある。

「自分はあらゆる本を読みインドやロシアやフランスの詩や小説も読むが、精神的な故郷は18世紀の南ドイツの文学である」

それは少し時代の変動はあるもののおおむねゲーテや、メーリケやジャン・パウルなどの世界である。そしてモーツァルトやバッハの世界でもあるようだ。

さて私自身の文学的故郷はというとやはりある。

ヘッセの郷愁、春の嵐、詩集。

カロッサの幼い頃、青春変転、美しき惑いの年 詩集

シュティフターの 晩夏 石さまざま

ケラーの 緑のハインリヒ


これが私の文学的故郷である。ドストエフスキーアンドレジード、カミユにカフカトーマス・マンヘミングウェイなども好きだが故郷というとこうなる。

ゲーテは入らない。ヘッセも荒野のオオカミや、ガラス玉演技などは入らない。

尊敬する作品と、愛好する作品と、故郷となる作品は違うのである。

4人のドイツ人の記載の作品こそが本来の私であって、あとは人生の紆余曲折を経て読み込んで行って感動したのである。もともとは南ドイツとオーストリアとスイスのドイツ語の作家の翻訳が私の精神を形成したのである。

ということはヘッセと同じ故郷の出身なのだと思った。