文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ
猫の村
ぼくと共に
ここまで育ってきたものたち
ぼくらは雑草の中の
ほったて小屋で生まれた
よく晴れた日に
早朝の満ち潮に運ばれて
この世にたどり着いた
猫が見守っていたらしいのだ
起き抜けに背中を伸ばしながら
ただの存在であったぼくらは
次々に堕落を重ね
より複雑な動きと反応を身につけ
引き連れる仲間は増加の一途だった
一つの角を過ぎるたびに
昼寝中の猫が薄目を開けて視線を送った
ぼくらの成長を
一本の銀杏の木に集めて
透き通る真っ青な空へ向かって
聳え立たせる
証としての巨木と
命を掴み取る地中の根っこと
その両方を舐めながら
猫がのんびりと顔を洗う