詩
文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ
山上の青空 by 辻斗真
最後の山歩きで
探していた青空を見つける
そして過ぎ去った年月に
この青空を知っていたならと
悔いを残しながらも
そこから思い出すすべての青空に
この発見を教えてやれば
時間というものは遡って
色が変わるのだと気づく
無数の塗りなおしが施され
年輪のように色が積み重なって行く
だがもうあの山上の
冷えた空気と爽快感は
鮮度を失い
新たなものが必要とされる
そうだそれは
必要とされており渇望されている
言葉で届くものではなく
言葉より強いものだ
あの青空を越えて
命そのものの輝きを見る
それはまだ遠い可能性だが
最初から秘められた奥儀でもある