ゲーテと言えば一番有名なのは「若きウェルテルの悩み」
ファウストやウィルヘルムマイスターよりも知名度も人気もウェルテルの失恋物語がダントツトップです。
ウェルテルの悩みのヒロインはロッテ。
このロッテは実在の女性でした。名前もロッテ。
シャルロッテ・ブフさんでした。結婚してシャルロッテ・ケストナーになるのですが
このケストナーさんこそ、ウェルテルが熱愛するロッテの婚約者だったわけです
トーマス・マンの評論『ゲーテのウェルテル』
トーマス・マンはゲーテを自分の 不動の鏡 と呼び アメリカ亡命中などは
繰り返し何度もウィルヘルムマイスターやファウストを 赤鉛筆で線を引きながら読んだほどのゲーテファン、ゲーテ心酔者です
そのマンが若きウェルテルの悩みについての評論の最後にこんな意味のことを記しています
ゲーテは晩年 ワイマルを訪れたロッテと再会した そして昼食を共にした
これは事実だがこの逸話をもとに誰か小説を書かないだろうか?
とても興味深い設定だ
で 誰も書く人はおらずマン自身がやがて書くことになります
それが 『ワイマルのロッテ』です
ワイマルのロッテ
年を取ったゲーテのもとに、ワイマルの宮中顧問官にして国民的詩人のゲーテのもとに、あのウェルテルのロッテのモデルとして誰もが知るシャルロッテ・ケストナーが訪れました。数十年ぶりの 確か40年ぶりくらいの再会でした。
ワイマール市民は、熱狂してその訪問を迎えたとか。現代ならテレビ局のカメラやSNSが追い回すような出来事ですね。
なにせ誰もが知るウェルテルという小説の あのヒロインロッテが
ロッテの実物がやって来たのですから!
その、ロッテによるワイマール訪問を土台に書かれたトーマス・マンが長編小説ワイマルのロッテは しかしちってもロマンティックなものではありません。
ワイマル公国の要人やゲーテに関わる人々が次々にロッテのもとを訪れては、会話をして帰っていく、という繰り返しがこの小説です。なので物語というよりはトーマス・マン版の対話編ですね。
ゲーテ本人も登場し、ニュルンベルク裁判において、裁判官が作中のセリフを誤ってゲーテ本人の言葉として引用したため話題にもなりました。
それほど深くこの本にはゲーテを鏡にトーマス・マンの文化と文学についての考えがたっぷりと述べられていて面白い。
ちなみにゲーテとロッテは再会してどうなったか?・・・・・??
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最後のシーンでロッテの宿泊した宿の主は、改めてウェルテルのロッテに敬礼し、あなたに会えたことは我が一族の永遠の誉れです、というような意味のことを述べて見送るのです。
敬礼するような勢いで見送ったとのこと
現代ならば伝説の大女優が目の前にいるような感じでしょうか
別の角度からもう一本の動画です