ホメロスとはなんだ?
昔は世界文学全集を読む人が今よりはずっと多かった。
ところが、一部の全集では
もしくは
だった。
ヨーロッパ文学の根源的作品でもある。
若きウェルテルの悩みではウェルテルはことあるごとにホメロスを読んでいた。
またフランスでは20世紀後半に至るまでエコールノルマルという
日本の東大にあたる大学では
古代ギリシャとラテンの古典を学ぶのが主であり
これは東大で四書五経を学ぶのが主であるというようなものだ
ホメロスは
ギリシャ語として六脚韻=ヘクサメターを駆使して書かれていて
幻聴や幻視で見聞きしていたという説まである
ヨーロッパ叙事詩文学の源流地
ホメロスとトルストイを海にたとえ、叙事詩精神がヨーロッパ精神であると語ったのはトーマス・マンであり、彼もまたヨセフや魔の山などの叙事詩的作品を描いた。トマス・ハーディが一番書きたかったのは詩でも小説でもなく叙事詩だったという話もある。ナポレオン戦争に材をとった「覇王ら」などはそうしてできた作品だる。
はじめてホメロスの面白さが分かった
若い頃読んだときには、すべての登場人物と神々に、煌めく眼のアテナイ神とか、智謀に飛んだオデュッセウスとか勇猛なメラネオスとか、必ず形容しがつくので読みづらかったが今はそれが古代人の生活を感じさせて心地よかった。
また神々が登場し、しゃべったり助けたりするのもリアリティがないと思っていたが、今は逆だ。古代ギリシャ人にはそれが現実だたったのだ。彼らはその思念のうちに現実に神神がそのようようにかかわってきたのだと認識して生きていた。だから神々なしに人間はいないのだという、そういう世界なのだということがわかた。だから空想物語ではなくて、古代ギリシャ人にとってはこれは現実の話だったのだということがとてもよくわかったのである。
実際、ストーリー展開から細かいプロットから、これを紀元前200年頃に仕上げたというのはあり得ない、天才の中の天才だと思った。