【ブログ版】世界の名作文学を5分で語る|名作の紹介と批評と創作

YouTubeチャンネル『世界の名作文学を5分で語る』のブログ版です。世界と日本の名作紹介と様々な文学批評 そして自作の詩と小説の発表の場です

名作の紹介|小説 戯曲

めくらぶどうと虹<宮沢賢治作>全文朗読動画

動画です 9分30秒から朗読のさびの部分に入ります #宮沢賢治 の小品。短い #童話 ですが #めくらぶどうと虹 には宮沢賢治のエッセンスのすべてがつまっているかもしれません いずれにしても 作中のさびの部分、虹のセリフはあまりにも美しく真実です 全…

「色彩をもたない多崎つくると彼の巡礼の旅」を読む人へ|ネタバレ無しと徹底解説と独自解説と3本の話

#色彩をもたない多崎つくると彼の巡礼の年 についての話です 今回は 一度読んだことのある人向けの 多崎つくるの巡礼 の解読動画です 引き続き この作品の動画をあと2本上げる予定です ネタばれなし どんな小説なのか https://youtu.be/vJLSG9WOVpc ネタば…

動画版|J.Dサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』|深読みの再読書評

前半|タイトル『ライ麦畑でつかまえて』に込めたサリンジャーと翻訳者:野崎孝の思いとは? #サリンジャー の #ライ麦畑でつかまえて についてお話します まずは タイトルの「ライ麦畑でつかまえて」についてこの翻訳の意味を考えていきます 1960年代…

【川端康成 雪国】叙情の極致の文体と温泉宿の凛と張り詰めた女の美しさを味わう

#川端康成 の #雪国 は誰もが知る日本近代文学の最高傑作のひとつです。その抒情的文章は日本語の極致とさえ言えるほどでありこれ以上の美は日本語では出せないかもしれないでも なんでこんなに読みにくいのか?川端康成ミステリーを解明します場面展開が…

動画付き|ドストエフスキーの『地下室の手記』を評して

地下室を評して ドストエフスキー『地下室の手記』①|手記を生んだのは帝政ロシアか詩人の魂か? ドストエフスキー『地下室の手記』を徹底的に読んだ|無為に過ごす「罪と罰」のラスコーリニコフ 解説 ニート、引きこもりに見立てて読む。違います、数学的断…

ドストエフスキーは他人とは思えない|自我にまとわりつかれた男の苦闘のつぶやき

ドストエフスキーが彼自身のような、自意識過剰な人物を描写するとき、いつもそれは私にそっくりな心だと思ってきた。 地下室の手記 などあまりにも私すぎて途中から読む必要もないほどだ。 カラマーゾフの兄弟ですら、私がフョードルやアリョーシャに自分を…

バルザック人間喜劇をゴリヨ爺さんを起点に考える

ゴリヨ爺さんから選んだシーンヴィクトリーヌ・タイユフェル嬢ヴォケェ夫人の下宿屋のひとり彼女の父親は娘として認知しない手元におかず年額600フランを送るだけさらに財産を息子ミシェル・タイユフェルに移すべく不動産を動産に変える下宿人のひとりヴ…

宮本輝「にぎやかな天地」で考える文学の文体|伝統発酵食品を豪華本に!

宮本輝再読中 最近はもっぱら再読です 昔読んだ本は、細かい筋は忘れているから面白い。 村上春樹を数冊再読したし YouTubeチャンネル「世界の名作文学を5分で語る」 を開始して2年はバルザックやカミユやジッドなどをいつも再読している で 今は宮本輝 に…

トーマス・マンの『ベニスに死す』|マンの描写で冒険する老作家の心と美と異国情緒

トーマス・マンの一番読みやすい?中編小説 海の風景と海への思い。 それはブデンブローク家で語られてたものと同じ 作家的精神の長い記述はトーニオクレーガーと同じ 晩年ファウストゥス博士の成立で書いた自分の作家生活ともよく似た表現が多い。 つまり …

【本格的に村上春樹を語る】海辺のカフカをまるっと文芸評論してみた

海辺のカフカの文体について考えるみずからの構築する世界を支え切れない文体。1973年のピンボールまではこの文体が共振して森の中にメタファーの音楽を奏でたが、いまでは響きのない単調な音が連なるだけ。 こうしてマーロウのシニカルさを追求したセリ…

村上春樹と宮本輝の小説

小説とは本来こんなもんだろう何気にとって30分くらい読んでたら楽しいなんだったら2時間くらいでも読めてしますそして結構 印象深く考えさせられることもあるトルストイやバルザックの小説はこんな感じカミュはカフカはこうではないしドストエフスキー…

【控えめなニーチェ雑感】ニーチェが語るゲーテの悲劇|人間的なあまりに人間的な

#ニーチェ と言えば #ツァラトゥストラはかく語りぬ ですがツァラトゥストラを語るには本格的な再読が必要。 なのでここでは #人間的なあまりに人間的な の中から ゲーテについて書かれた箇所を取り上げます 美術への才能を断念するゲーテの気持ちは #…

ヘミングウェイが代筆した手紙|第一次世界大戦の戦場から怪我をした友人の母にあてた真心のない完璧な手紙

最後の文学論|ヘミングウェイの手紙ヘミングウェイが第一次大戦に従軍中、友達のお母さんに友達の代わりに手紙を書いていたという逸話があります。友達本人が書くと、「ぼくは元気、危険な任務も今のところない、安心して。母さんも元気で」で、終わってい…

『1973年のピンボール』を巡る絶望|村上春樹が示す個の完成へ向けた時代の転換

#1973年のピンボール と #大江健三郎の万延元年のフットボール は連動しているそうですそれではじめてピンボールという小説の奥行がわかったような気がします でも個人的には 1985年の自分の精神風景と、この1973年の風景がリンクしていました

バルザックの長編「絶対の探求」は駄作かもしれないけど後半は面白い|動画で語りました

バルザックの35歳ころの長編「絶対の探求」。翌年には谷間の百合、同じころゴリオ爺さん、と円熟期の作品であるまずはバルザックの中の位置づけについて語りますそれからこの小説の過剰な描写について思うところを話しますまあ、谷間のゆりも過剰描写のオ…

史上最高の小説家はトルストイ|ドストエフスキーの黙示録より叙事詩が人を癒し回復させる

【史上最高の小説家はトルストイ】 YouTubeでだいぶ前になりますが トルストイの戦争と平和は 神業であるというような動画をアップしました 内容には少し誤認のところもあったり、お見苦しい個所もあるのですが、ぼくの動画では通算で1位か2位の視聴回数にな…

バルザック『知られざる傑作』

知られざる傑作バルザックの短編饒舌さのない入り口普通は家や人や地域の風景を書きまくるので入るのが大変でもこれは最初から入れる饒舌な名人芸普通の天才と未来の天才の3人 フレンホーフェル ボルビュス プウサンボルビュスの書いた絵に能書きをべらべ…

永遠の神童モオツァルト|永遠の若者小林秀雄がズバズバつぶやいた昭和21年の作品

昭和21年、終戦の翌年に44歳の #小林秀雄 が書いた #モオツァルト は今日読むと天才論としてかなり正確な論文に思えます が、これは評論ではなく、モオツァルトを鏡に、あるいはモオツァルトとスタンダールとゲーテをネタに書いた小林秀雄の短編小説…

【モーム】幸せの尺度!人生の価値はどこにある?|深く楽しくちょっと驚くサマセット・モーム珠玉のストーリー『太平洋』

#サマセットモーム がタヒチを舞台に書いたものと言えば #月と6ペンス でも 短編集 #太平洋 にも #タヒチ諸島 が出てきます 今回は 絶版となっている 短編集『太平洋』から 巻頭の序文「太平洋の描写」と #マッキントッシ #エドワードバーナードの転…

カラマーゾフの兄弟 第2編場違いな会合 のメモ

第2編 場違いな会合1 修道院に到着登場人物 フョードル(父)― ドミートリイ=ミーチャ(長男) ― イワン(二男) ― アレクセイ=アリョーシャ(三男)*主人公 ミウーソフ:ミーチャの伯父 カルガーノフ:ミウーソフの遠縁の青年・アリョーシャの友達 マ…

ニコライ・ヴァシーリエヴィチ・ゴーゴリ

小説[編集]ディカーニカ近郷夜話(1831年-1832年、短編集)ソロチンツイの定期市イワン・クパーラの前夜五月の夜紛失した国書降誕祭の前夜怖ろしき復讐イワン・フョードロヴィチ・シュポーニカとその叔母呪禁のかかった土地ミルゴロド(ロシア語版、ドイツ…

堀辰雄は『美しい村』と『風立ちぬ』を通しで読むのが最高です|もうひとつの文学的故郷 

堀辰雄と言えばぼくにとっては【風立ちぬ】 ただし 風立ちぬは その前触れ的な小説として 美しい村 を持ちます なので 美しい村と風立ちぬを通しで読むのがいいかなと思っています 菜穂子など 菜穂子もありますね でも風立ちぬ以外だと 妻への手紙 大和路・…

ヘッセの「春の嵐」|若き音楽家とゲルトルートと声楽家の物語

ヘッセは郷愁、車輪の下、春の嵐、などのロマンティックな小説が本当のヘッセだと思いますシッダールタやナルチスとドルトムント、ガラス玉演戯、デーミアン、荒野のおおかみ、などの思想的に深い作品は素晴らしいのだけど本来のヘッセは春の嵐の中にある。…

大岡昇平の野火についてのメモ

文学 野火をちゃんと。野火は ペスト ロビンソン・クルーソー 白鯨戦争体験を迫力ある筆致で書いたから凄いのではないそれは単なる背景ですアンネフランクの日記は当事者が書いた文章聞けわだつみの声も当事者ハンスカロッサのルーマニア日記は当事者なのに…

ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』を楽しく解説します

難解とされるジョイスのユリシーズ。読み方にはこつがありますそれさえわかれば素晴らしさが一機に来ます詳細解説は第一部第三章のスティーブン・ディーダラスの意識の流れを対象にやりましたジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』|小説なのに小説を超えた…

トーマス・マンの『ファウストゥス博士』を動画で解説

YouTubeでファウストゥス博士を探すと、語っている人はいませんでした:2021/12/30現在。なので割と細かく詳しく話しました3本あります。1.トーマス・マン畢生の大作『ファウスト博士』第1回概要 全3回|知名度ゼロの代表作の素晴らしさ2.マン作『ファウス…

シュテイィフターの晩夏についてのFB投稿から

晩夏について。1.ちなみにぼくのYouTubeチャンネルをきっかけに晩夏を読んだ方がいて、最近読了したとのメールをいただきました。イギリス在住でドイツ語で読んだとのことで!!!!って感じで驚きました僕は動画では、古びた温泉宿に長期逗留しているとき…

カミユの異邦人

**40年ぶりくらいにカミユの「異邦人」を読みました**■■■デビュー作となっていますがこの前に習作「幸福な死」を書いていてそこで書こうとしたことが結晶化して異邦人になっている。幸福の死の主人公はソレイユ=太陽とメール=海の合体したメルソーさ…

ハイデッガーの「ヘルダーリンは存在の詩人」ってどんな意味ですか?

答え 認識とは果てしのない対象化、そしてそれを個々のイメージで描写するのが現代詩だから、他人の夢を見ているようなもので意味不明です(笑)そしてハイデッガーの存在は、ぼくはハイデッガーはよく知らなくてヤスパースを通して同じ実存哲学という観点で考…

とても影響を受けた文学の本50選|2021年10月版

順位付けは不可能なので今の気分で思いつくままに10冊づつ 影響を受けた本を列挙してみた! 1~10冊 COSMOS / 臨死体験 / 空海の風景 / 道元晩夏 / ランボー詩集 / カロッサ詩集魔の山 / ファウスト博士の成立 / 辻邦生パリの手記と日記 11冊~20冊…