トーマス・マンの一番読みやすい?中編小説
海の風景と海への思い。
それはブデンブローク家で語られてたものと同じ
作家的精神の長い記述はトーニオクレーガーと同じ
晩年ファウストゥス博士の成立で書いた自分の作家生活ともよく似た表現が多い。
つまり
作家と海。
というテーマはマン生涯のテーマであり、
37歳のとき ベニスに死す を書くにあたってはこう表現したということだ。
時代との一致という考えも魔の山に出て来る。
個人の生命を生きると同時に時代を生きている。
その意味できわめてトーマス・マン的な小説である。
ダジョが登場してからは 芸術家の感性が美をダイレクトに吸収することで、人格が崩壊していくかのような感じがしてくる
それはトーマス・マンがみずから打ち立てた市民の秩序で芸術を創造する姿勢への挑戦だ。
美がそのまま芸術を創れるのか?いやそれは不可能でありそうなれば死だ。という命題を地でいった作品だと思う。