【ブログ版】世界の名作文学を5分で語る|名作の紹介と批評と創作

YouTubeチャンネル『世界の名作文学を5分で語る』のブログ版です。世界と日本の名作紹介と様々な文学批評 そして自作の詩と小説の発表の場です

【漢文超訳集】李白と杜甫の詩をヘッセ風に翻訳してみるとそれは素晴らしい近代的な詩に生まれ変わる

李白 牀前 月光を看る

牀前 月光を看る
疑うらくは是 地上の霜かと
頭を挙げて 山月を望み
頭を低れて 故鄕を思う 

 

 

<夜の静けさの中で月を見て>

 

夜 人々がもう横になって
今日の日に別れを告げて
眠りに入ろうとする時刻

 

月が私のベッドを照らしていることに気づく
あまりにもくっきりと
月光は忍び寄り
あたかも霜が張ったかのようにさえ
私には思えたのだった

 

心を揺さぶれて
私は一人起き上がり
はるかな山々を眺める
月はそこから今登ってきたところだった

 

はるか故郷にも今
この月はやさしい光をなげかているだろう
わたしの愛する人々に今
この月はやさしく囁きかけていることだろう
願わくばひとり離れたこのわたしの
夢をみていてほしいと思う

****************************

春を迎える悲しみの歌(春望)超訳  Toho

「内乱」が私たちの都長安を破壊した
家々が燃え 宮殿が蹂躙され
数えきれないほどの人々が死んだ
無数の悲嘆と涙が街中に溢れているにもかかわらず
長安を取り囲む山や
長安に注ぎ込む河は
何も変わることなく
春を迎えて 草木が再び生い茂る

 

 

ああ
人の世の姿は私の奥深く悲しみを植えこむ
人の心を癒すはずの花を見ても涙が止まらず
家族との別れの辛さに
軽やかな鳥の鳴き声にさえ心が傷む

 

未だに戦いの狼煙が果てることはなく
いつしか家族からの音信もまれになり
待ちわびる私の心には
手紙の中の
子供たちと妻の筆跡は
何を犠牲にしても抱きしめたいものなのだ

 

世界の終わりを目の当たりにした私の心は
もう耐えきれず疲れ果て
白髪が頭を覆うばかりだ
そして何気にそれは薄くなっていく
私も世界のように終わりつつあるのだろうか
もう私の肉体は若き日の面影から遠く離れてしまった
長安がそうであるように
*******************************

 

anisaku.hatenablog.com

詩・ポエムランキング
詩・ポエムランキング