曠野の歌
わが死せむ美しき日のために
連嶺の夢想よ! 汝なが白雪を
消さずあれ
息ぐるしい稀薄のこれの曠野に
ひと知れぬ泉をすぎ
非時(ときじく)の木の実熟うるる
隠れたる場しよを過ぎ
われの播種(まく)花のしるし
近づく日わが屍骸(なきがら)を曳かむ馬を
この道標(しめ)はいざなひ還さむ
あゝかくてわが永久(とは)の帰郷を
高貴なる汝(なが)白き光見送り
木の実照り 泉はわらひ……
わが痛き夢よこの時ぞ遂に
休らはむもの!
曠野の歌