芥川龍之介が日本人作家としてもっとも尊敬していたのは志賀直哉でしたね。その文章力と言う点での尊敬です。
志賀直哉は、流れで一切書かない、調子がでてきたらその勢いで書く作家がほぼ全部ですが芥川によると志賀直哉は、調子がでてきて流れに乗ってきたら立ち上がってそういう雰囲気を自分の中から消して、またゼロから書き出すのだそうです。
例で取り上げられた文章などもぼくなどもこれをもう数えきれないほど読みましたが、やはり志賀直哉の典型的な文体であり、勢いのすべてを消した文体というのはこういうものだなあと感じます。
この簡潔さ、この的確さ、それがぱさぱさして来ず詩情を生む、さすがに芥川をうならせた短編の名手です