【ブログ版】世界の名作文学を5分で語る|名作の紹介と批評と創作

YouTubeチャンネル『世界の名作文学を5分で語る』のブログ版です。世界と日本の名作紹介と様々な文学批評 そして自作の詩と小説の発表の場です

自作の詩「CAT キャット」古荘英雄

創作 詩と小説 エセーと随筆

1987年の詩


キャット


煙草を吸う男を見た

キャット

それは初めて乗る電車で

そして二度と乗らない電車でのこと

京都発金沢行き

北国へ向かう数時間

ぼくは一人で夢を見たのだ


キャット

とある窓の内側にいて

どうでもいいことを毎日しゃべり

やがて口を閉ざして

大通りを行進する

そのための世界のように大きな犠牲は

断固としてしょうがないと

興奮して叫んでいた


キャット

都市は未来へ向かう

それが間違いでも

とにかく

どこにも行かないということはない

開かれた目と足で

冒険のようなことが行われるのだ

ぼくが思うのは

でも

ぶらぶらと歩きながら

煙草を吸う男の姿だ


電車ははじめての駅に着く

ホームで肩をたたかれて

振り向いた時の一瞬の光景が

今でもずっと心を貫く


キャット

1980年には一人だった

そのあとの何年かを

火にあたりながら

同じことを何度もしゃべり

ある種の自由港から

何でも空想してみせた

君を破壊するものをぼくは見る

君はでも負けることがない

ぼくには君の先行きが見える

君は踊る

元気に

それが何よりだって

ぼくは何度も言っただろう

忘れただろうけど・・・・・・