【ブログ版】世界の名作文学を5分で語る|名作の紹介と批評と創作

YouTubeチャンネル『世界の名作文学を5分で語る』のブログ版です。世界と日本の名作紹介と様々な文学批評 そして自作の詩と小説の発表の場です

『わたしに寄せ来る海と夢』

 『わたしに寄せ来る海と夢』


わたしの前にある海は

遠くに島影を見せながら

夕暮れになると海岸を

覆う優しい 布団のようでありました


わたしの前にある海は

若い希望の残骸を クラゲのように打ち上げながら

まだ生きていても いいのだよ と 

荒い中にも優しい潮風の 歌声のようでありました


わたしの前にある海は

水平線まで広がって

雄大にも平和と未来につながった

若々しく 躍動する 魂のようでありました


わたしの前にある海は

連れ去られた悲しみと

取り戻せない悲しみに

鎮痛に鈍く輝く お日様色の午後でした


わたしのあとに残る夢は

20歳の頃の恋心

彼女の白いブラウスが 夏の太陽に

きらめく梅雨の あとでありました


わたしのあとに残る夢は

すべてが終わった人生の

出来事すべてを飲み込んで

日ごと おし寄せる 波のようでありました


わたしの前にある夢は

海のごとくに変わりゆき

やがては時のはしっこで

最後の夢さえ 消えていくのでありました