【ブログ版】世界の名作文学を5分で語る|名作の紹介と批評と創作

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自作の詩「夢の余生」by辻冬馬


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習作時代の詩



夢の余生


抜け出す

高みに

これは誇り

この存在の由来は

それを許す

浜辺で

彼女の声が押し寄せ

消えて

空も海も青い

ノスタルジーと明日の城が波で消される

この世の全体と抱き合い

それだけで

高みから自分を見下ろせることに気づく

時間は

青で止まり

波音で縛られ

海を前に

何もかもが

終わる

やがて星が出て

心もどこにもいかない


命を

忘れない

それへの執着を

飽く事なき願望に

手を伸ばし

時の向こう側を

彼女と走ったあの頃を

命は覚えている

その命を

忘れない


それでもまだ

最後の場所ではない

それだけはなぜだかわかる

だがこの日の太陽の世界では

すでに魂は余生を越えて生きている

それなのに

ここにいる

あの国は変わり

何度も何度も日が昇るのも見てきた

それなのに動かない

そのあとの時代なのに

動かない

これは夢だから


彼岸の海を前に

さて?