文学創作 小説 詩 ポエム エセーのためのカフェ
風の終点のその向こう側
蝶々が風と別れて
海を前に羽を休める
そこでまどろみから覚めて
海に去る者たちへ
別れの言葉をかけていた
数え切れないほどの何かが
海に散った
何もかもが
当たり前のように消えていった
蝶々が再び飛び立つ
引き返すことなく
終点の向こう側へ
まどろみから覚めて旅立つ
海を吹く風は
眠りに誘うそよ風ではなく
生命にとっては荒々しい息吹だ
試みの果てに海風に乗る
そこには光と大地の溶け合う
まどろみを誘う午後はない
飛び続けなければ死へと落ちる
そこにあり続けることは
それだけで奇跡だ
場違いな繊細さと美しさを失うことなく
いつしか逞しい渡り鳥となって
神の定めた進路を往復する
繰り返す北と南の行き来の果てに
新しい夢を得るかもしれない