【ブログ版】世界の名作文学を5分で語る|名作の紹介と批評と創作

YouTubeチャンネル『世界の名作文学を5分で語る』のブログ版です。世界と日本の名作紹介と様々な文学批評 そして自作の詩と小説の発表の場です

一通の電子メール~学生時代の同級生の女の子が40台半ばで子供を残して亡くなった時死後友人たちにメールが来た F

1通の電子メール


あれはもう15年も前のことだ。

学生時代の友人から電子メールが来た。彼とは東京と福岡にいても時たまメールで近況報告する仲だったので、いつもの変哲もないメールだと思った。

私は軽い気持ちで何気なく読んだ。


「私の人生を彩ってくださった皆様へ」

と書かれている。

なんだ?これは?

「人生、長さじゃなくて質だと思うことにしました。充実した人生を送りました。心は晴れ晴れです。ありがとうございました」


友人の言葉がそのあとに続いていた。

「○○さんが3日前に亡くなりました。彼女のご主人から彼女の最後の言葉がメールとして発信されていて、できるだけ多くの、彼女にかかわった人たちに届くようにしてくださいとのことなので、送ります」


私たちと同級生の彼女は享年42歳。上の子供もまだ高校生だった。

私は彼女をはじめ多くの親しい人たちの死を見送ってきた。一つだけ言えることは、孤独な死はどこにもなかったといことだ。

当時私は彼女の知人の末端に位置していたからどこにもメールを転送しなかった。だが、今、遅まきながらこうして拡散させていただいた。この文章を読む読者は彼女を知らない人ばかりだが、きっと彼女も喜んでくれると思う。