アレキサンダーは大勢の兵士を従えた、は小説としてはあってはならない文章である ①
続き
これを二アレキサンダーの視点から書くと
王は自分の陣地に大勢の兵士が溢れているのを見て満足だった。自分の中に蘇ったデルフォイの神々が雄たけびを上げるのを感じた。
大勢の若者がさらに兵団に参加するため、長い列を作って手続きを待っていた。それは自分の中にさらにエネルギーが充填されていくような気分だった。
小説を書くときにはこうなりがちである。
作者が自分の見ているものを説明してしまうのだ。
それは三文芝居のもとになる。
アレキサンダーの陣営を説明するのではなく創造することが小説芸術なのである。
①であれば登場人物のケーオスの視点を軸に、作者でさえ知らない世界を、一つ一つ積み上げる、
そして何を作れば全体像がイメージできていくかをにらみつつ、
言葉で事物を創造する、
するとその事物が世界を構築する。
そうなってはじめて小説世界の創造となる。