【ブログ版】世界の名作文学を5分で語る|名作の紹介と批評と創作

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【小説文の良し悪しは主語で決まる】「アレキサンダーは大勢の兵士を従えた」では読者はイメージできない|辻邦生パリの手記より

辻邦生が紹介している小説文書き方の事例

アレキサンダーは多くの兵士を従えて遠征にでた」


「多くの兵士がアレキサンダーに従って、ともに遠征に旅だった」

の比較がある。


私見であるが

アレキサンダーは多くの兵士を従えて遠征にでた」

という文章では世界を構築できない

「多くの兵士がアレキサンダーに従って、ともに遠征に旅だった」

とならなければならない。

これはどちらでもいいことではない。

この二つであれば100回書いても後者にならなければならないのである。


目に見える行動を書かなければうすぼんやりとした概念を眺めるだけで臨場感ある世界にはならないのである。

これはなぜこうなるかというと、まず遠征というものがあってそれを説明しようとするから失敗するのである。

小説は

遠征をモチーフにして

ゼロからその遠征を創造していくのである。

だから多くの兵士の行動から、その情景を作らないといけない。

もっといえば、こんな展開が望ましい(私案:失敗かもしれませんが)



アレキサンダーは多くの兵士を従えて遠征にでた   ではなくて

👇


「ケーオスは18歳の誕生日を迎えた朝に、若き王の軍事遠征に参加しようと街はずれの陣地に行った。

数えきれない若い男たちが槍や剣を手にして、早く戦いたいとばかりに天に向かって突き上げていた。将軍たちが乗った馬たちも人の多さに興奮して、いななきをやめなかった。祭りのような熱気の中でケーオスは兵団編成を司るテントの前で長い列に並んだ。

名前を記入されたら、剣か槍かを配給されるのだ。できれば槍で、突撃する部隊に編入されたいと思っていると、あたりを満たしていた音の混雑が突然消えた。

一人の若い男が真っ白な大きな馬に乗って、将軍たちの群がる奥の方から出てきたのだ。


男のマントは将軍たちのだれよりも赤く、男の姿は将軍たちの誰よりも威厳があり、男も将軍たちも何も言わないのだがそれが王、アレキサンダーであると陣地中の空気が告げていた。突然の静けさがしばらく続いたあと、堰を切ったように熱狂の叫びが陣地を満たした。

我らの王!アレキサンダー  我らの王!アレキサンダー・・・・・・・・」



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