詩を深く考える①
詩を書く人は多い。
前にも言いましたが、10文字くらい書いて改行して10行から20行くらい書けば詩に見えますから、一億総詩人だっていいんですけど、プロの俳句と素人の俳句、プロの短歌と素人の短歌がはっきり違うように、うまい詩とそうでない詩ははっきりわかります。これは小説にもいえることで、短歌なら57577で書けば誰もが短歌を作ったと言えるのですが、小説にも実はそういう構造としての約束事に近いものがあるけど、誰もそれを練習しない、そんな話を前回書きました。
さて詩には構造としての約束事があるか?約束事とは効果的なこと、作品としての成否を握るほどのポイント、ということですが、それがあるのか?
あるんですね。
だからこれがある詩は素晴らしいし、ない詩は読んでてばからしい。
今私は30枚以上の小説を書くことを条件に小説グループをやっていて、前にもいいましたがいずれサブローグループに合併してもらえばと考えてもいます。で、小説で30枚も書いてもらうと、力量がはっきりわかるんですね。そもそも書けない人がほとんど。小説を30枚以上で完成させている時点で、力量があるとなります。
では詩はどうでしょうか。長ければいいわけでもないけど、ひとつの視座として、長さが書けることは大事です。それは思想性と構造の構築ができるということだからです。では短い詩だと力量が測れないか?実は短ければ短いほど瞬間的にうまい下手がわかります。俳句彩短歌はプロの場合、うまいなあと感心しますね。
Facebookで見かける10行くらいの詩って、まずゴミのような詩です。
下手です。
続く
詩を深く考える②
私は今小説なら30枚、詩なら10編を加入審査の時にお願いしています。実はあれ、詩もやってます。
で、長詩は思弁性と構造の想像力の測りにはなるけど、叙情詩は短い詩、短詩もすごいのはあるわけなので、10編読ませてもらうことにしています。
1編はまぐれがあります。5編だと自分史上最高傑作が5編来るからすごいものばかりになる。
で、10編が自分史上最高作としても、素晴らしい詩を10編も書けたらそれはもう才能だから10編としています。で、10編読むと文体や、思考の傾向や感性の癖などもわかるから、まず素人さんを評価するにははずれないと思っています
この詩のうまい下手っていったいなんなのでしょう?
続く
詩を深く考える③
詩は言葉の力で精神を切り裂くものです。あるいは精神をふるわせるものです。
穏やかにゆりかごのように揺らす心地よいものもあれば、嵐の海のようにひっくり返すようなものもあるし、闇夜に光る稲妻のように、その閃光で周囲を照らすものあれば、太陽のように月のように光を投げかけるものもあります。
つまりこう感じる詩は優れた詩でそうでないのは改行した日記です。
さて、詩が10行あるとします。今から書くことを計算して書いても仕方がありませんが、結果としてそうなっている詩はすごい。
1行目と2行目の間にもう一行ある。
各行に間にすべてもうひとつの行、あるいはもう一つページがあって、
10行なのに10ページ分くらいのことが書かれている
1行目と7行目が響きあっている、3行目が9行目の意味としての伏線になっている。
などなど、無駄なくすべての言葉が他の言葉とオーケストラのように、響きあい、その音響の余韻がまた別の音楽を作り、一遍の詩を読むことで、ひとつの宇宙に浸ることのできる詩。
そんな詩がありますね。
そしてそうではないけどそんな詩を目指している詩をときどき見かけるわけです
続く