現実より創作が人生であるレベルの作家について
文学創作をするものは、この世の出来事が架空であり、文学創作の世界が現実である、そう小林秀雄が言いましたが、これは小林の意見というより、多くの作家や 詩人を研究した結果そうとしか思えないという感想だったのだと思います。
ドストエフスキーがどれほど賭博で困窮していても創作する現実世界は全うであり、実人生の出来事など露ほどのこともない、そう断じていました。
なかなかそうは思いないものの、要は普通の仕事だって熱中すればほかのことは(たとえば家族のこと)は忘れてしまうし、日常的なもろもろ忘れるから、文学に限ったことではないかもしれません。
ただ文学創作が仕事ならば、一番好きなことを仕事にしているし、それは価値ありと思えることがほとんどだから、それはもう現実の人生などどうでもよくなるのかもしれません。