合評会について① 修正版
わたしは福岡の文芸誌らむぷに10年所属して20編の小説を書いた。会費3500円と年に2回の出版のたびに3万円ほどかかったので半年で5万円ほどになる。そして出版すると半年に一度の合評会が5時間くらい行われた。
一人あたり30分から1時間、重箱のすみをつつくように、酷評うずまく時間であった。そして攻撃と反論で喧嘩まがいの討論にもなった。
特に高樹のぶ子の場合は、らむぷに掲載した「 光だく友よ 」が送付した群像で群像新人賞を取り、そのまま芥川賞まで取ったので、今回掲載した自作がもしかしたら群像新人賞か文学会新人賞を受賞するかもしれないとなどと思っていた。当時、出版された同人誌はあらゆる文芸雑誌に送付しており、雑誌がわでもざっと目を通していたのである。
合評会について②修正版
さて、私は「らむぷ」時代の10年間で、半年ごとに5万円かけて自作への批評を忌憚なく言ってもらったわけである。そりゃあもう、腹が立ってなぐってやろうかと思ったことも何度もあったが、結果的には、仲間や先輩たちの罵詈雑言のおかげで、文芸誌の新人賞の予選を突破したり、福岡のラジオに作家として出演したり、新聞で地元日曜作家と紹介されたりするレベルまで腕があがった。結局そこまでの才能でしかなったが、明らかに腕は上がった。みなあの酷評の嵐のおかげだと思っている。
才能は多くの人に埋もれている。取り出して磨きをかけるかどうかは自分次第である。間違ってならないのは、人のアドバイスを素直に聞かないといけないと勘違いすることだ。