自作の童話「雲の妖精の物語」
現代版「絵のない絵本」アンデルセンもどきに
文学創作 小説 詩 メルヘン 童話 ポエム エセーのためのカフェ第二話
冬山に逃げた王様の物語④
百人の武器を持った男たちは、王国の大事な大きな栗の森に入ると、自分たちが食べる栗を取るだけではなくて、いえいえい、もともとそんなことはせずに、王様たちに、食べ物を食卓まで届けろという申し出を断られた腹いせに、森の木を切り倒していったのです。
すごい音が何度も何度も聞こえ、何本も何本も大きな古い栗の木が切り倒されて行きました。
わたし、雲の妖精は王様の様子をじっと見ていました。
王様は家来たちと一緒に森に入っていきました。
そして、木を切るために男たちが脇においていた武器という武器を、こっそり、持ち運んでしまいました。
それから森を出て王様は、百人の武器を持たない男たちが、森から出るのを待ちました。
やがて夕暮れが迫った時、百人の武器をもたない男たちは、リーダーに率いられて王様の前に来ました。
栗をたくさん食べておなかはすいてなさそうでしたが、たくさん木を切り倒したので、とても疲れてふらふらしているようでした。
リーダーの男は言いました。
「おれたちの武器がないぞ、王様。おまえたちが盗んだんだろう」
王様は言いました。
「私たちの栗の木も何本もなくなったようだ。一番大事なものを奪われたから、一番大事なものをもらった。これで交換になったから、あなたたちの罪はゆるされた」
百人の武器を持たない男たちのリーダーは怒って怒鳴りました。
「栗を食べてもいいといっただろう!!
とっとと武器を返せ、さもないと!!」
「さもないとあなたたちの武器で私たちを倒すのですか?
でももうあれは私たちの武器です」
百人の武器を持たない男たちのまわりを、王様の家来たちが武器をもって、百人の武器をもった家来が取り囲みました。
続く・・・・・