【ブログ版】世界の名作文学を5分で語る|名作の紹介と批評と創作

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自作の詩「足もとの花々」by辻冬馬

創作 詩と小説 エセーと随筆

足もとの花々


土手を裸足で歩く頃

脇に咲く黄色い花々が

新しい季節が吹きかける風に揺れ

束の間の夢を生き抜く力について

素知らぬ顔を崩しもせずに

語り続け やがて

その囁きが

大気を震わせる壮大な音楽に昇華する


土手から見下ろす水面の

揺らぎの中に

無数の光のかけらを眺めては

まばたきごとに永遠が飛び込み

そこにいる限りは純粋でいられることを

悟りが広がっていったのだと誤解する




身を投じた多くの道から

いつも見上げ見下ろした

ある種の空と

染め上げられた海の赤を

胸に抱きつつ

かすかな泡のはじける音さえも消して

静寂の中で指一本動かさない


そこに吹いているはずの風を

すでにはっきりと予感する

そしてその時には足もとの白い花々が

いつまでもいつまでも揺れていて

束の間だった夢について

互いに眼差しに笑みを湛えながら

それらの思い出をまた囁きあうのだ

もう何に変わって行くのでもなく

永遠に囁きのままに

そよ風としての姿のままに


風の終点    風の終点のその向こう側


最後の風  約束の木々に吹く風




*風をテーマにした詩


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