創作 詩と小説 エセーと随筆
足もとの花々
土手を裸足で歩く頃
脇に咲く黄色い花々が
新しい季節が吹きかける風に揺れ
束の間の夢を生き抜く力について
素知らぬ顔を崩しもせずに
語り続け やがて
その囁きが
大気を震わせる壮大な音楽に昇華する
土手から見下ろす水面の
揺らぎの中に
無数の光のかけらを眺めては
まばたきごとに永遠が飛び込み
そこにいる限りは純粋でいられることを
悟りが広がっていったのだと誤解する
身を投じた多くの道から
いつも見上げ見下ろした
ある種の空と
染め上げられた海の赤を
胸に抱きつつ
かすかな泡のはじける音さえも消して
静寂の中で指一本動かさない
そこに吹いているはずの風を
すでにはっきりと予感する
そしてその時には足もとの白い花々が
いつまでもいつまでも揺れていて
束の間だった夢について
互いに眼差しに笑みを湛えながら
それらの思い出をまた囁きあうのだ
もう何に変わって行くのでもなく
永遠に囁きのままに
そよ風としての姿のままに
*風をテーマにした詩