日本語の詩について
江戸期まで。
戦後すぐくらいまでであっても
日本には3つの定型詩があった。
それは俳句と短歌と漢詩である
◎古池や 蛙飛び込む水の音
◎泥棒をとらえてみれば我が子かな
◎痩せガエル負けるな一茶ここにあり
◎蝶々が韃靼海峡を渡っていった
◎咳をしても一人
◎分け入っても分け入っても青い山
◎あらざらむこの世のほかの思い出に 今ひとたびの会うこともがな
◎春風の花をちらすとみる夢は 覚めても胸のさわぐなりけり
◎まゆのごと白く光れる雲ふえて そこはとなきやさしさ誘う
◎愛人でいいのとうたう歌手がいて言ってくれるじゃないのと思う
俵万智『サラダ記念日』(1987年)
◎漢詩
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◎ 李白の漢詩をヘッセの雰囲気に超訳する試み - 【ブログ版】世界の名作文学を5分で語る|名作の紹介と批評と創作
心情のための詩 思考のための詩
心情は俳句と短歌
この3本柱から漢詩がなくなり
非定型の新体詩=近代詩=現代詩となり作るの難しくなった
定型のしばりはインスピレーションを消すというあやまった考え
定型こそ芸術のいれもの インスピレーションの根源です
絵画 音楽には形がある 文学もある
20世紀にユリシーズや散文詩が一見解体したように見えるものがあるが
みずから定型を作っている
知人に30文字を30行で書く人がいた
定型の具体例 詩はどうやって作るか?
【テーマ】天気が良くて犬と川べりを散歩していると春一番が吹いてきた
俳句:春一番 川辺を犬と散歩かな
4行詩:
見上げれば真っ青な空
愛犬と歩く川辺の道
春一番を浴びながら
水鳥たちが今はばたく
14行 ソネット
見上げれば 目に透き通るような空の青
愛犬のヨーゼフが ぼくに目くばせをした
ぼくはかすかにうなずいて
さあ 昼下がりの散歩に出よう
川辺の道には人影もまばら
野良猫たちが昼寝をしている
ヨーゼフは猫たちに
かすかに目くばせをする
川には水鳥たちのうたたねの姿
飛び立つ気もなく
猫と水鳥の昼寝大会
突然の春一番に驚いて
ヨーゼフは吠え
猫は起き上がり 水鳥は飛び立った
まとめ
詩を定型なしで 自由にのびのび書こうとすると
よほどの熟達者でないとたいていは失敗します
定型とは 器であり
その器に言葉を入れれば一定レベルの詩が出来上がるのですが
定型なしで描くというのは
その器まで自分で作らないといけない
そうなると天才的な才能が必要になって来るのです