人生論。
無数の人が語り書いてきた主題だ。なぜならすべての人に共通するテーマだからだ。
トルストイは戦争と平和やアンナカレーニナを書いた後、晩年はもっぱら社会正義と神の国のためにものを書いた。
その一つが人生論である。
で、この人生論はなかなか面白い。面白い人生論ってなんだ?とも思うが、トルストイの細やかな詩的描写がそのまま生かされている。ここまでこまかかく物事を分解するからあの詳細な描写ができるし観察ができるのだと逆に思った。
一本の木を書くのにあれほど深く書く人はいないし、狩りに出た犬の気持ちだけで2ページひっぱる人もいない。そんな細やかさが次々に連携して織りなす物語だからトルストイの小説は長くなるのである。
そしてその細やかさでキリスト教的な実存的な生命についての証明が延々と延々と続いていくのである。
きっと孔子ならひとことで言うことを、一冊の本にしているのである。
この人生論を読むと死ぬのが怖くなくなる。
怖いのはただ、死ぬまでの医療費の支払いだけとなる。
以上。