【ブログ版】世界の名作文学を5分で語る|名作の紹介と批評と創作

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詩的言語

 詩的言語


赤ん坊が言葉を覚えるのは、周りの大人が言葉を話すからだ。だから英語圏だと英語を話すようになり日本なら日本語を話すようになる。関西なら関西弁で福岡なら博多弁がベースとなる。

つまり人はいつも聴いてきた言葉で話すようになる。

同じようによく読書する人の語彙や言い回しのバリエーションは読まない人よりも当然多い。詩の場合だと立原道造が好きな人の詩は立原ような精神風景を描こうとするし、同様に中原中也が好きなら中也的なものを描く、とにかく自分がもっとも影響を受けた世界を描こうと試みるものだ。そしてそもそもその世界は詩によって発見したのであり言葉は世界を作るのである

当たり前だが多くの詩を読むことで、行の行の関係、フレーズとフレーズの絡み方、全体の暗喩の素晴らしさ、同じ単語でも詩の空間に入れることで音楽をもつことなど、自然と身についてくるものだ。

このことから考えると、本を読まずに詩を書くのは幼稚園の子供が片言でしゃべるのと同じだ。もちろん、海水浴に来て「海がきれいでキラキラ光って冷たくて楽しかった」と、かたことで言うとかわいくて人を感動させるものだが。

だからといってそれは芸術ではない。芸術とは大人なのに子供の感動を詩的言語で紡ぐ行為だ。自然に好きに語れば詩になるなんてことはない。それは子供の絵日記を大人になっても書き続けてかわいいと言ってもらおうとすることだ。