2018-03-21から1日間の記事一覧
やがて、わたしは母に連れられて外に出た。その日は曇っていたが、祖父が燃えている間は、不思議と日が射していた。どんなに雨が降っていても、火葬の間は止むのだと聞いたことがあった。その天の配慮のような現象に心を打たれた。 母は、煙突から立ち上る煙…
詩 始原の足跡 それは道だったのだろうか 百万年前の アフリカの大地に残る親子三(人)の足跡 それは生活というものの痕跡だったのか 誕生間もない新種の サル科類人目ヒト種の(決してヒト科ではない) 餌探しの途中の偶然の一歩だったのか それともそれは…
翌日、祖父の遺体は神妙な手つきで裸にされて、全身を湯で洗われ、髪や髭を剃られ、爪もきれいに切りそろえられた。あの世への旅立ちなので、身なりを整えるのだという話にわたしは妙に納得した。それらの儀式の一連の流れは、あの世が存在するという大いな…