【ブログ版】世界の名作文学を5分で語る|名作の紹介と批評と創作

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【現代詩の徹底解説&批評】詩のタイトル ≪走る≫|動画付き

 構成も内容も素晴らしい

一部説明文になったところがはっきりと浮いてしまっている

またこの内容だからもしかしたらもう少し迫力ある編集ができたと思います

彼女が倒れたあたりとか。

その3行程度のためにすこし白けるが全体としては素晴らしい、感動しましたね

 



《走る》

黄色い鉢巻だ

短めの髪をきゅっと締める

Vネックの白い半袖体操着に黒いブルマ姿で

彼女は駆け出す

廃墟となった街の中を

 

廃墟は危険だらけだ

倒れたビルディング

砲塔のフッ飛んだ赤錆だらけの戦車

道路を引き裂いている飛行機の残骸

高架橋からブラ下がる電車

そこかしこに転がる焼け爛れた自動車

数々の障害物を越えて

彼女は黄色い鉢巻を翻(ひるがえ)しながら

それは風のように走る

 

錆の浮いた剥き出しの鉄骨の上を走る

鉢巻から滴る汗を

左腕で乱暴に拭って走る

空はとても澄んでいて青い

→澄んでいる、でよい

 澄んでいるの方が空の色合いが頭の中で無限に広がる

 透明感や群青色や宇宙の黒など、織り交ぜたイメージになってるところに

 「青い」と説明されると白ける

いつかあの空へ還るんだ

そう思う

→完全な説明で読むのが止まる

 あの空へ還るんだ 自体が思ってることで

 見事にはまっているのに

 「そう思う」と説明したら白ける

 あるいは「彼女はそう思った」でないと。

走り続ける

 

錆びて赤茶けた大砲陣地跡だった

歪んだ大砲の薬莢(やっきょう)を踏んでしまい

足を取られて転んでしまう

→ここに1,2行があるべき

しばらく倒れたままでいた

→いきなりはじめるとおかしい

小鳥たちのちゅんちゅんと言う鳴き声に

小さな虫たちの羽音

平和だ

→このあたりの表現がまさにさび

少しあっさり言葉を置いたか?

だが彼女は苦笑いしてから上半身を起こす

膝のかすり傷に唾をなすりつけてから

また廃墟の街を走り出す

汗に濡れた黄色い鉢巻が

息にあわせて揺れては

また風に翻る