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詩の推敲の実例付き解説
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詩【月に向かって吠える狼】
狼が月に向かって吠えた
美しい
狼の心さえ 夜の静寂に響いて来るようだ
数万年に及ぶ種族の攻防と森との共生の果てに
そのすべてを抱きしめるように
遠く深く 月に向かって狼が吠える
推敲理由
狼が月に向かって吠えた
美しい
*すでに狼が月に向かって吠えるシーンで美しさは出てるから重複
狼の心さえ 夜の静寂に響いて来るようだ
*下の2行が狼の心なら静寂に響くと説明しなくてもそこで歌われている
数万年に及ぶ種族の攻防と森との共生の果てに
そのすべてを抱きしめるように
遠く深く 月に向かって狼が吠える
完成版
狼が月に向かって吠えた
数万年に及ぶ種族の攻防と森との共生の果てに
そのすべてを抱きしめるように
遠く深く 月に向かって狼が吠える
解説
月に吠える狼の姿が美しいので詩にしました
なので最初は当然美しい と感慨込めて書きます
そして何より書きたかったのは
夜の静寂に響き渡る狼の悲しい声だったので
夜の静寂に響いて来ると書いています
しかし
全体の中でより的確にそれを示した言葉があり
結果として同じ意味の 説明文として浮いてしまった言葉を推敲しました
メタファーが勝手に鳴り響いていくので説明がないほうがいいわけです
所見
この言葉の作業を敢えて言語化するとこんな風になりますが
実際には読み返して感じたところを整えていったのですね
料理の味付けだってレシピにすると細かいですが
実際にはもとは職人の頭の中の霊感です
こうした作業をしないといけないのか?というとNOです、こうした作業を自然にやりたくなる気持ちこそ才能であり、こんなことはしたくないと感じるのは才能がないだけです。
見解の相違ではなく才能の有無なのです