【ブログ版】世界の名作文学を5分で語る|名作の紹介と批評と創作

YouTubeチャンネル『世界の名作文学を5分で語る』のブログ版です。世界と日本の名作紹介と様々な文学批評 そして自作の詩と小説の発表の場です

詩は創作過程でどんな風に推敲されていくかの実例とその解説

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詩の推敲の実例付き解説

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  詩【月に向かって吠える狼】

狼が月に向かって吠えた

美しい

狼の心さえ 夜の静寂に響いて来るようだ

数万年に及ぶ種族の攻防と森との共生の果てに

そのすべてを抱きしめるように

遠く深く 月に向かって狼が吠える


  推敲理由

狼が月に向かって吠えた

美しい

*すでに狼が月に向かって吠えるシーンで美しさは出てるから重複

狼の心さえ 夜の静寂に響いて来るようだ

*下の2行が狼の心なら静寂に響くと説明しなくてもそこで歌われている

数万年に及ぶ種族の攻防と森との共生の果てに

そのすべてを抱きしめるように

遠く深く 月に向かって狼が吠える


  完成版

狼が月に向かって吠えた

数万年に及ぶ種族の攻防と森との共生の果てに

そのすべてを抱きしめるように

遠く深く 月に向かって狼が吠える


 解説

月に吠える狼の姿が美しいので詩にしました

なので最初は当然美しい と感慨込めて書きます

そして何より書きたかったのは

夜の静寂に響き渡る狼の悲しい声だったので

夜の静寂に響いて来ると書いています

しかし

全体の中でより的確にそれを示した言葉があり

結果として同じ意味の 説明文として浮いてしまった言葉を推敲しました


メタファーが勝手に鳴り響いていくので説明がないほうがいいわけです


  所見

この言葉の作業を敢えて言語化するとこんな風になりますが

実際には読み返して感じたところを整えていったのですね

料理の味付けだってレシピにすると細かいですが

実際にはもとは職人の頭の中の霊感です

こうした作業をしないといけないのか?というとNOです、こうした作業を自然にやりたくなる気持ちこそ才能であり、こんなことはしたくないと感じるのは才能がないだけです。

見解の相違ではなく才能の有無なのです