ちょっと小説を考える
21世紀の現在の小説芸術は20世紀に行われた様々な破壊と修正と創造の実験のあと、その成果でいくらでもなんでも表現できることの賜物である。昔からこんな小説作法があったわけではなくこんなアイデアがあったわけでもない
そして20世紀の反抗的小説群は19世紀に完成した巨大山脈としての小説の否定のエネルギーで生まれたのであるから19世紀の小説を知ることはとても大事だ。
ゾラやバルザックやスタンダール、フローベル、モーパッサン、トルストイ、ドストエフスキー、ディケンズ、サッカレー、ゲーテの後半、ビルドゥングロマンス、などにより、ついに小説は市と戯曲から独立してひとつの一人前のカテゴリーになったわけである。
そして18世紀と19世紀に横たわる断絶は近代とその前の断絶である。
つまり小説とは近代の荒野を埋めるものだ。なので日本では夏目漱石が最大の小説家になるのである