素人小説のポイントはふたつ。
1.文体の破綻
2.物語の破綻
これまで坪内さんの小説は文体は安定しても、なぜだか降ってわいたような物語の破綻があって、う~んって感じが読後感だった。
ところが今回は 最後まで物語が破綻しなかった
ということは、完璧な小説だったわけです。
こうなるといよいよ真の小説批評がはじまります
1と2の話は、技術的な話だから、たとえば漱石やトルストイの小説の話をするときに
どうしてこうなるのかわからないとか、ここの表現はおかしいとかはなくて、主人公の心や社会のことについて真摯に考えるものですね
ではこの坪内作品の文学的意義はなんなのか?
出所者の就職が社会の偏見で決まらないというのはそのことに悲惨さをこの作品からあまり感じない。坪内氏の筆によってそれは見事に示されている。つまり主人公の心が変わればその問題さえも変わるだろうという優しく強い文章なのである
私としては居酒屋のおやじのあいよ~がよかった
あいよーだけのセリフなのにキャラが見事に感じられたのである
きれいな終わり方をした作品だからこうなると最後にサンタクロースがもう一度登場しないのは少し違和感を感じる、ネタバレ的なことを言わしめるほうがクリスマスプレゼントだ。余韻を味わうようには書いてないからむしろ積極的にせっかくサンタを登場させたので、
「君の弟こそ君へのプレゼントだ」と
トナカイのかなたから声が聞こえてきてもよかった
最後にこれは期せずして
映画 天使がくれた時間
と
映画フィールドオブドリーム
を足して二で割った内容になっている